(1)付点モノイド(あるいは冪等可換半環)上の代数幾何の基礎付け これまで,内容をまとめて何度か講義を行った.2022年度はこれまでの継続として代数幾何における冪等可換半環と順序加群の関係を整理しつつ,今後の特異点理論への応用を目指した研究を行った.特異点論を純粋にトロピカル幾何から行う場合,局所代数が一意分解整域にならないため,既約分解すらおぼつかないという困難がある.一方で,べき級数は付値との相性が良いため,まずはべき級数のホモトピーの考察を行っていた.他方で,Shustinらによる固定したニュートン多面体の超曲面族のトロピカル化の結果との関連を調べていた. (2)工程計画問題への応用 トロピカル多項式のニュートン多面体から,もとのネットワークの幾何的構造を引き出す方法について研究を進めていた.フランスから実習生を受け入れて計算を進めるなどしてきた.その成果はまとめているところである. 2022年度は名城大学の専門家に東京都立大学に滞在してもらい,研究打合せ・情報収集を行った.対面での議論は大変有意義であった.また,今年度もトロピカル幾何ワークショップの開催を援助した.具体的には,2月27日・28日に東京都立大学において行われたワークショップに参加し,教室使用責任者となり,ZOOMを提供し,参加者との交流等を行った.その際,京都大学の大学院生を1名招聘し,個別に情報収集を行った.また,昨年度からトロピカル幾何関連の研究者・大学院生数名による勉強会を継続した.また情報収集のために代数幾何関連書籍を3冊購入した.
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