研究実績の概要 |
局所関数等式を満たす多項式のペアを系統的に見つけるには正則概均質ベクトル空間の非退化な相対不変式とその双対空間の相対不変式のぺを見つければよいということが20世紀の多くの数学者の認識であったが、21世紀に入り、先ずフランスのFarautとアメリカのKoranyiが, Jordan代数の考察から, 概均質ベクトル空間の相対不変式でないにも関わらず、局所関数等式を満たす4次の多項式のペアが存在することを示した。この研究をもう少し精密化して、このようなクラスがもう少し系統的に得られないかという研究を私は佐藤文広氏と共同で行い, Clifford quartic formsという4次形式の多項式のペアは有限個の例外を除いて非概均質的多項式であるにも関わらず局所関数等式を満たすペアであることを示し, Clifford quartic formsに付随する空間の分類も行った.これにより, Etingof, Kazhdan,Polishchukによって提出された「多項式で, その乗法的Legendre変換が再び多項式になり, そのペアが局所関数等式を満たすのはすべて概均質ベクトル空間であるか」という問いに, 反例があることを示すことで, 否定的にこの問題を解決した.当該年度の研究では,この研究の流れで, 局所関数等式を満たす多項式のペアがあれば, その極化のペアも局所関数等式を満たすことや概均質ベクトル空間の極化も概均質ベクトル空間になり, 関数等式に現れるガンマ因子がどのように変化するかも明示的に与えた. 一般に非概均質性が極化を繰り返すことで、いつかは概均質性に変化するかすることはあるのかという問題は未解決であるが, 非概均質的多項式であるのも関わらず局所関数等式をみたすClifford quartic formは何回極化を繰り返しても非概均質性を保つことと, 極化による関数等式のガンマ因子の変化を明示的に与えた.
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今後の研究の推進方策 |
局所関数等式の極化のによる影響についての考察で, Clifford quartic form以外に非概均質性が保たれるものがあるのか, 非概均質的多項式も極化を繰り返していくと,どこかで概均質的多項式に変化するものはあるか, など未解決のままになっているものがあるが、それは今後の課題として, 取り組んでいく.
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