研究課題
今年度は博士課程の院生とともに、ウィッテンの位相的ヤン‐ミルズ理論の有限次元版とみなせる理論を構成し複素グラスマン多様体G(k,N)のオイラー数を求めるという研究の仕上げを行い、成果をプレプリントの形で発表した。その研究の副産物として、複素グラスマン多様体のコホモロジー環を何の関係式も仮定しない有限個のグラスマン変数を用いて実現する方法(自由フェルミオン表現)を発見した。また、前年度に引き続き、カラビ‐ヤウ超曲面の種数1のグロモフ‐ウィッテン不変量をミラー対称性を用いて計算する際の、B模型から得られる母関数の展開係数の留数積分表示についての考察を続けたが、こちらの方は余り目覚ましい進展は得られなかった。ただ、その過程でZinger氏の論文を読んでいる際に、私の構成したモジュライ空間の交点数を用いて、ミラー対称性で用いられる周期積分の展開係数をどのように直接構成したら良いのかという問いに対する答えの鍵となる着想を得た。この事については、引き続き新たな研究課題で追求する予定である。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Journal of the Mathematical Society of Japan
巻: 73, NO.4 ページ: 995--1018
10.2969/jmsj/83148314