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2019 年度 実施状況報告書

ボトルネック構造を持つ空間の幾何解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K05215
研究機関山形大学

研究代表者

石渡 聡  山形大学, 理学部, 准教授 (70375393)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード熱核 / 連結和 / ポアンカレ定数 / べき零被覆グラフ / 非対称ランダムウォーク
研究実績の概要

研究目的の研究1:ボトルネック構造を持つ空間の幾何解析の研究実績として、研究協力者であるビーレフェルト大学の Alexander Grigor'yan 教授およびコーネル大学の Laurent Saloff-Coste 教授とともに非コンパクトリーマン多様体の有限個の連結和上のポアンカレ定数の評価について研究を行い、各エンドがある一定の条件をもつ場合には中心部分のポアンカレ定数は多様体の増大度が2番目に大きいエンドが決定するという結果を得た。ポアンカレ定数は、関数の分散とディリクレエネルギーの比率に関する定数で、ノイマンラプラシアンの第一固有値の評価と考えることができ、空間のスペクトル幾何学的な構造を特徴づけるものである。この証明には楠岡ーStroockによる熱核のガウス型評価からポアンカレ不等式を導出するというアイデアを応用したところがキーとなっている。そのため、連結和上の熱核評価についてもこれまでに得られていたケースを拡張し、critically orderd end と呼ばれる条件を満たす空間で熱核の最良の評価を得ることにも成功した。これらの成果は現在論文作成中である。

研究2. ボトルネック構造の距離空間の幾何による特徴づけの研究実績として、慶応義塾大学の河備浩司教授および立命館大学の難波龍弥助教と共同でべき零被覆グラフ上の非対称ランダムウォークの長時間漸近挙動について研究し、非対称性を用いて均質化された作用素のドリフト項を具体的な表示を与えた。これらについて論文としてまとめ、現在投稿中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究1では、熱核の挙動とスペクトル幾何学的構造の関係を表すポアンカレ定数が評価できたことで、ボトルネック構造を持つ空間上の幾何解析の主要な部分が得られたことになるため、計画通りに進んでいるといえる。また、研究2ではグラフ上の非対称ランダムウォークの長時間漸近挙動とグラフの幾何構造の関係を明らかにできたことで、非対称な対象の幾何解析の研究推進に良い結果を与えている。

今後の研究の推進方策

研究1では、ボトルネック構造を持つ空間の調和解析的性質についての性質を調べる研究に着手する。Grigor'aynとSaloff-Costeは1991年それぞれ独立に、リーマン多様体の熱核がガウス型評価(Li-Yau型評価)を持つことと、放物的 Harnack 不等式が成り立つことが同値であることを明らかにした。この事実をもとに、連結和上で、熱方程式の解がどのような挙動をするのか、Harnack型の評価について考察する。 Harnack 不等式は Liouville 条件とも関係があるため、これらの事実をもとにして調和関数の性質についても研究する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [国際共同研究] Bielefeld University(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      Bielefeld University
  • [国際共同研究] Cornell University(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Cornell University
  • [学会発表] Poincare constant on manifold with ends2019

    • 著者名/発表者名
      S. Ishiwata
    • 学会等名
      Analysis and PDEs on Manifolds and Fractals
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2021-01-27  

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