研究課題
本研究では,2次元正規特異点の幾何種数などの基本的な解析的不変量を評価し,特異点の複素構造や環論的な性質を捉えることを目標としている.渡辺敬一氏と吉田健一氏との共同研究においては,特異点およびイデアルの不変量である正規節減数(normal reduction number)の基本的性質を示した.正規節減数は計算が困難であるが,環論と幾何からの解析が可能であり,今後はさらに重要な不変量になると思われる.まず,Brieskorn超曲面の極大イデアルの正規節減数の具体的な公式を求め,その応用として楕円型超曲面を分類した.また,非特異曲線を例外集合に持つ錐型特異点の正規節減数の上限を記述し,斉次超曲面特異点の場合には簡潔な公式を与えた.イタリアの研究者 Maria Evelina Rossi 氏を加えた共同研究においては,楕円型イデアルを導入し,複数の特徴づけや整閉であるための条件与えた.渡辺氏と吉田氏との共同研究において, 幾何種数イデアル(正規節減数が1)の良い性質を明らかにしてきたが,楕円型イデアルはその次に扱いやすく,より深い性質を持つ対象であると期待できる.Brieskorn 完全交叉特異点に関する研究では,まず超曲面の場合の結果を拡張した.さらに,Brieskorn完全交叉特異点の位相型を持つ特異点の幾何種数や特徴的な複素構造を考察した.ある特殊な位相型において,幾何種数が最大となる特異点の幾何的特徴および具体的な定義式を与え,極大イデアルサイクルが最小となるような擬斉次特異点を分類し構造を記述した.最終年度は,環論的な対象であるイデアルの core について,幾何学的な観点から研究を行った.極大イデアルサイクルを用いたイデアルの位数を導入して基本性質を整理し,core のその位数に関する評価を与えるとともに,楕円型イデアルの具体例を構成した.
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
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