研究課題/領域番号 |
17K05219
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
藤森 祥一 広島大学, 理学研究科, 教授 (00452706)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 極小曲面 / 極大曲面 / 特異点 / 退化極限 / 解析的延長 |
研究実績の概要 |
3次元ユークリッド空間の極小曲面および3次元ミンコフスキー空間の平均曲率0曲面の大域的性質と特異点に関する研究を行った。具体的には以下の2つの研究を行った。 Peter Connor氏(インディアナ大学)との共同研究で、3次元ミンコフスキー空間の錐的特異点を持つ極大曲面の構成に関する研究を行った。特に3次元ユークリッド空間の周期的極小曲面のデータをもとに周期的極大曲面の族を数多く構成し、その退化極限として得られる極大曲面の考察を行った。本共同研究は現在も継続中である。 川上裕氏(金沢大学)、國分雅敏氏(東京電機大学)、Wayne Rossman氏(神戸大学)、梅原雅顕氏(東京工業大学)、山田光太郎氏(東京工業大学)、Seong-Deog Yang氏 (高麗大学校)との共同研究で、曲面の解析的延長に関する研究を行った。特に一般論の確立と、3次元ド・ジッター空間の平均曲率1曲面の解析的延長について考察した。ド・ジッター空間の平均曲率1曲面は、局所的には3次元ミンコフスキー空間の極大曲面と等長対応することが知られているが、大域的な性質は大きく異なる。ミンコフスキー空間の極大曲面はある種の特異点を通して曲面を解析的に延長できることが知られているが、ド・ジッター空間の平均曲率1曲面の解析的延長に関してはほとんど研究が行われていない。この平均曲率1曲面の解析的延長の有無を解明するために、一般論の展開と具体例の計算の両面から研究を行った。本共同研究は現在も継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3次元ミンコフスキー空間の錐的特異点を持つ極大曲面についてはすでに多くの例を構成することができ、論文の執筆も進んでいるので、研究は当初の計画以上に進展している。一方、曲面の解析的延長に関する研究は、既に多くの具体例を得ているものの、まだ明確な定理を得ることはできていない。 以上のことを総合的に判断すると、研究は概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
3次元ミンコフスキー空間の錐的特異点を持つ極大曲面については、既に得られている多くの例をもとに曲面を系統的に分類し、対応する3次元ユークリッド空間の極小曲面との関係も考慮して論文にまとめる。 曲面の解析的延長については、現在やや理論が複雑になり過ぎているので、既に得られている多くの例をもとにもう一度諸々の定義を見直して明確にし、それを元に命題を書き、証明を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度は申請者の異動などで研究以外に時間を取られることが多く、共同研究の打合せをオンラインで何度か行ったため、旅費の支出が当初の予定よりも少なくなったことが次年度使用額が生じた主な理由である。 2020年度は研究遂行のための新しいパソコンを購入予定であり、当初の予定よりも多くの物品費が必要になる見込みである。
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