研究実績の概要 |
向きづけられた4次元ニュートラル多様体 N 内の零平均曲率ベクトルを持つ空間的曲面で等方的で N の向きに適合するものを, N に対し定義できる空間的ツイスター空間へのリフトの水平性で特徴づけた (4次元Riemann多様体内の等方的極小曲面についてのFriedrichの結果の類似物). 特に, N がニュートラル空間型の場合, ツイスター・リフトの水平性は曲面上の正則4次微分が恒等的に零であることに対応する. また, N がニュートラルケーラーの場合, N 内の複素曲線はちょうど零平均曲率ベクトルを持ち等方的で N の向きに適合しかつ1つの複素点を持つものである. 特に N が平坦なニュートラル空間型である場合に, N 内の複素曲線を誘導計量および正則3次微分の観点で特徴づけた (4次元Euclid空間内で以前得た結果の類似物). 曲面が時間的な場合にも大体同様の結果を得ることができたが, 全く同様ではなかった. (1) Riemann面の類似物であるLorentz面を定義する必要があった (Riemann面は1変数複素関数で正則なものを変換関数とするが, 複素関数をパラ複素関数として大体類似の設定をすることでLorentz面の定義を行う). (2) 零平均曲率ベクトルを持つ等方的な時間的曲面で N の向きに適合するものは, N に対し定義できる時間的ツイスター空間へのリフトの水平性で特徴づけられる. N がニュートラル空間型の場合, このような曲面上で定義される局所パラ複素変数に関する正則4次微分は恒等的に零である. しかし, 正則4次微分が零であってもツイスター・リフトが水平とは限らず, リフトの共変微分はある種の光的なもので有り得る. 対応する曲面は大体幾つかの3次元空間内のWillmore型曲面およびその類似物の共形Gauss写像によって与えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では, 考察の対象とする曲面は (退化することが有り得る)空間的曲面だった. しかし, 時間的曲面について今までに得られていた空間的曲面に関する結果の類似物が得られただけではなく, 4次元ニュートラル空間型内の零平均曲率ベクトルを持つ時間的曲面については, 4次元Riemann多様体内の等方的極小曲面のツイスター・リフトの水平性による特徴づけの類似物が得られただけではなく, 4次元Lorentz空間型を値域とする共形Gauss写像の類似物に関する結果も得られた. 本研究課題では, 曲面上の正則4次微分は主な研究対象だが, 時間的曲面も考察対象としたことで理解が大いに深まったと考えている. 現時点で到達した理解は, 明らかに本研究課題申請時の想定を超えているため, 進捗状況の区分を(1)とした.
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今後の研究の推進方策 |
今後さらに曲面上の正則4次微分の理解を深める研究を進めていきたい. 空間の次元は主に4または3であることに変わりはない. 空間のツイスター空間だけではなく2-グラスマンバンドルも意識したい. また, 空間の次元が一般の場合についても, 空間的曲面, 時間的曲面の両方を考察の対象にしたい. また, 昨年度の研究で見出された論点が幾つかあるので, それぞれ結論を出すかまたは議論の発展の可能性を探りたい.
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