研究課題/領域番号 |
17K05221
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
安藤 直也 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 准教授 (50359965)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ツイスター・リフト / (ニュートラル)超Kaehler多様体 / 平均曲率ベクトルが零 / Gauss写像 / (パラ)複素4次微分 / 共変微分が光的 / Willmore型の時間的曲面 / Gauss-Codazzi-Ricciの方程式 |
研究実績の概要 |
4次元Euclid空間内の極小曲面のGauss写像は正則であることが知られている。この一般化として、4次元超Kaehler多様体内の極小曲面のツイスター・リフトの一つは正則関数によって与えられることを示した。また、4次元ニュートラル超Kaehler多様体内の平均曲率ベクトルが零の空間的または時間的曲面に対しても同様の結果を得た。特に空間が平坦な場合、曲面のGauss写像はやはり正則であることがわかる。 向きづけられた4次元Riemann多様体内の極小曲面の二つのツイスター・リフトが、ツイスター空間の曲率テンソルの核に含まれるならば、曲面上で定義される複素4次微分は正則であることを示した。さらに、ツイスター・リフトが水平でないならば、曲面の接束および法束の局所正規直交標構を選ぶことで、それぞれの接続形式がco-closedになり、さらにこのことを整合条件とする過剰決定系の解を用いて第二基本形式が構成されることがわかった。なお空間が空間形であれば以上の条件を満たす。空間がRiemannではなくニュートラルの場合、曲面が空間的ならば同様の結果が得られる。また曲面が時間的ならば、曲面上で定義されるパラ複素4次微分は正則であり、またツイスター・リフトの水平性に関わらず第二基本形式は4つの常微分方程式の族の解を用いて構成される。 向きづけられた4次元ニュートラル多様体内の平均曲率ベクトルが零である時間的曲面で、二つのツイスター・リフトの共変微分が光的であるものは、次のいずれかを満たす: ある光的法ベクトル場の型作用素は零である; 全ての型作用素が零または光的である。空間が空間形の場合、Willmore型の時間的曲面でその正則4次微分が零であるものの共形Gauss写像は前者のような曲面を与え、また後者のような曲面の特徴づけをGuass-Codazzi-Ricciの方程式に基づいて与えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
昨年度の研究成果によって、様々な4次元多様体内の平均曲率ベクトルが零である曲面を以前より関連づけて議論できるようになった。特に、4次元ニュートラル多様体における議論は、4次元Riemann多様体内の議論と4次元Lorentz多様体内の議論の両方に関係があることがわかった。今年度は昨年度の結果に基づいて、曲面のツイスター・リフトの両方を、つまり空間の2-Grassmann束へのリフトを調べ上述のように様々な結果を得ることができたが、空間がRiemannの場合とニュートラルの場合の類似を意味するものがあり、一方で空間がニュートラルであるがゆえに成り立つものもあった。いずれの種類の結果についても、それらが今回得られたのは、空間としてニュートラルなものも扱うようになった結果として論点や問題意識が増えたことによると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
空間が4次元Lorentz多様体の場合、そのツイスター空間を考えることは難しそうである。一方で、空間が4次元ニュートラルの場合、ツイスター空間の類似物を考えることができた。今年度は空間の2-Grassmann束へのリフトを調べることによってツイスター空間だけを見ていたときよりも踏み込んだ結果を得ることができた。従って、来年度は空間が4次元Lorentzの場合にその2-Grassmann束へのリフトを調べたい。そして空間が4次元でニュートラルの場合に成り立つことがLorentzの場合に成り立つかどうか調べたい。また、今年度の結果を踏まえて空間がRiemannの場合もさらに調べることができるかどうか考えたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
まず、当該年度の活動は十分にできたと考えている。次年度使用額として発生した64,764円については、年度内に使い切るのではなく、次年度の特に旅費に組み込んで使用する予定である。但し、新型コロナウイルスの影響に応じて、使用費目の変更は有り得ると考えている。
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