研究課題
本研究課題では,対称対から誘導されるのLie変換群の作用,およびその作用で不変な部分多様体の幾何学について研究を行った.2つの可換なコンパクト対称対の組はΓ=Z_2×Z_2とするΓ対称対をなし,これによりΓ対称空間が得られる.我々はΓ対称対を用いることで,対称R空間の一般化として,R空間上にΓがZ_2の冪であるような自然なΓ対称空間の構造を与え,その対蹠集合の構造を明らかにした.ここで与えたR空間上の自然なΓ対称空間の構造は,R空間をEuclid空間に標準的に埋め込んだとき,外側のEuclid空間の鏡映に延長される.この性質からも,我々が与えたR空間上のΓ対称空間の構造は,対称R空間の自然な一般化であると言える.この事実から,我々は外的対称空間の一般化として外的Γ対称空間の定義を与え,我々が与えたR空間上のΓ対称空間の構造は外的Γ対称空間になることを示し,外的Γ対称空間の部分多様体論的な考察を行った.本研究はPeter Quast氏(アウグスブルク大学)との共同研究による.また,Γ対称空間の拡張として,一般化されたs多様体の概念を導入し,その基本的な幾何学的性質を調べた.さらに,一般化されたs多様体の極地と対蹠集合について研究を行った.本研究は大野晋司氏(日本大学)との共同研究による.これらの研究成果について,2021年6月にオンライン開催されたRIMS研究集会「部分多様体論と関連する幾何構造研究の深化と融合」にて研究発表を行い,記録集を数理解析研究所講究録に発表した.また,2021年9月にオンラインにて開催した「対称空間と群作用の幾何学」において講演を行った.Peter Quast氏との共著論文"A survey on natural Γ-symmetric structures on R-spaces"がContemporary Mathematicsに掲載された.
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 オープンアクセス 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
数理解析研究所講究録
巻: 2210 ページ: 42-56
Differential Geometry and Global Analysis: In Honor of Tadashi Nagano, Contemporary Mathematics
巻: 777 ページ: 185-197
10.1090/conm/777
https://www.comp.tmu.ac.jp/tsakai/