研究課題/領域番号 |
17K05227
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
國分 雅敏 東京電機大学, 工学部, 教授 (50287439)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 微分幾何 / 平均曲率 / 正則性 / 特異点 |
研究実績の概要 |
当該年度においては,共著のプレプリントの執筆1件(学術誌への掲載決定の知らせを受けている),および研究集会における口頭発表を1回行った. 3次元 de Sitter 空間におけるカテノイド(種数 0, エンド数 2, 平均曲率一定値 1 をもつ空間的曲面)はいくつかのクラスに分類することができるのだが,そのうちのいくつかは de Sitter 空間内の閉集合にはなっていない.しかしながら,それらは光的測地線をはさんで解析的拡張をもち,その拡張された曲面は de Sitter 空間内の閉集合となっていることを上述のプレプリントにおいて示した.不定値の計量をもつ空間内の曲面では,このような現象がしばしば見受けられる.おそらく,この例は解析的拡張をもつ曲面の代表的なものの一つであろうと考えられ,とても重要な例である. 一方,口頭発表においては,ユークリッド空間の平均曲率一定曲面,正の Gauss 曲率一定曲面でらせん運動で不変な形状をしているものについて,Jacobi 楕円関数による取り扱いについて解説した.Jacobi 楕円関数を用いることで直接的かつ簡潔な取り扱いが可能であり,円柱に同相ならせん状曲面の,無限個の存在などを容易に示すことができた. また,進行中の研究としては,先に述べた解析的拡張の一般論の構築の研究が挙げられる.曲面が存在する空間は一般の実解析的多様体であり,今のところ可能な限り最も広い一般化であろうと考えている.理論の枠組みの構築は見通しが立っていると言えるが,論理の細部の点検などに課題が残っており,現在おもにそれらに取り組んでいるところである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,共著論文のアクセプトをいただくことができた.また,口頭発表も行った. 曲面の解析的拡張の一般論については未だ完成していないが,少しずつではあるが,成果が蓄積されてきていると考える.残されるは論理の細部のチェック等であり,次年度中にはプレプリントとして発表できるものと信じている.
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今後の研究の推進方策 |
今後(今年度)の主な目標は次の通りである. (1) 曲面に解析的拡張の一般論の構築を目指し,連携研究者との連携を密にして,プレプリントの完成を推し進める. (2) (1)に続く研究として,様々な空間形において,解析的拡張の具体例を探求する. (3) 研究集会を開催し,関連分野の研究者の講演の聴講や,関連課題に関する討議などを行い,より良いアイデアの習得や,目標とする研究結果の価値等の見極めに努める.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初,平成30年度にウィーン工科大学のHertrich-Jeromin教授を訪問し共同研究を予定していたが,先方の都合等の為取り止めた.研究計画および予算執行の見直しを行い,今年度に研究集会を開催し,その費用に充てることとした.また,その他に,研究資料の購入や,学会,シンポジウム,各種研究集会の旅費に予算を使用する計画である.
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