研究課題/領域番号 |
17K05232
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研究機関 | 四日市大学 |
研究代表者 |
森本 徹 四日市大学, 関孝和数学研究所, 研究員 (80025460)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 巾零幾何 / 巾零解析 / 外在的幾何の不変量 / 線形微分方程式系の不変量 / サブリーマン幾何 |
研究実績の概要 |
研究代表者はBoris Doubrovおよび待田芳徳との共同研究を通じ、外在的幾何と有限型の包合的な線形微分方程式系の幾何を研究し、それらの不変量を求める一般的方法をを明らかにしてきた。この方向で2017年度の研究で次の顕著な進展を得た: (1) 外在的幾何の元素となる代数的な核は階数付きリー代数の階数付き加群であるとみなし、これを基にして外在的幾何と微分方程式系のL/L'カテゴリーという新たな概念を導入し、この定式化の下に、不変量を求める理論をさらに一般化し整備した。 (2)上記の一般理論の具体例としてsl(3)の随伴表現をモデルとする外在的幾何と線形微分方程式系について詳しい研究を展開した。これは幾何学的には3次元接触多様体の7次元射影空間、或いはその6次元の2次超曲面への埋め込みの研究であり、解析的には3次元接触多様体上の重み付き2次の有限型の線形偏微分方程式系の研究である。一般論を指針に幾何学的考察を進め、表現論を援用しながら計算を積み重ね、関連するコホモロジー群を決定し、不変量を明示的に表示し、さらに、推移的な埋め込み及び対応する推移的な2階の偏微分方程式系の分類とモジュライの決定をほぼ完全にやりあげた。さらにこの実例においてツイスター関係、ガウスの驚愕定理がどのように生起するかを詳しく調べ、その一般化の方向を予測した。 また研究代表者はある特別なクラスのサブリーマン構造について共同研究を進め次の論文を纏めた: K.Furutani, M.Godoy-Molina, I.Markina, T.Morimoto, A.Vasil'ev; Lie algebras attached to Clifford modules and simple graded Lie algebras (Journal of Lie Theory に掲載確定)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主目的の一つである外材的幾何と有限型の線形微分方程式系の幾何学的研究について、一般論および具体的研究において前述の通り顕著な進展があったからである。また無限次元の外在的幾何と無限型の微分方程式系についての研究はこれからの目指すべき一つの重要な方向であるが、これについても表現論の若い研究者たちとセミナーを持ち、情報を収集しながら、研究の展開の糸口を探っている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)外在的幾何と有限型の線型微分方程式系についてその不変量を求める一般理論を論文に纏める。 (2)sl(3)型の外在的幾何と線型微分方程式系についての詳細な研究を論文に纏める。 (3)無限次元の外在的幾何と無限型の線型微分方程式系について考察する。 (4)外在的幾何、内在的幾何、線形微分方程式系、非線形微分方程式系、それら相互の様々な有機的な関係を調べる。 (5)サブリーマン幾何などへの応用を図る。 (6)Monograph:Differential Equations on Filtered Manifolds の執筆を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた年度末の出張が研究上の都合により取りやめたことにより残額が生じた。これは次年度に共同研究者を招聘する経費等として使用する。
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