研究実績の概要 |
本年度は、可解多様体における局所共形ケーラー構造について、以下の成果が得られた:局所共形ケーラー構造の特別な型として、ヴァイスマン構造がある。ヴァイスマン可解多様体に作用する可解リー群の極大べき零正規部分群は、ハイゼンベルグリー群といくつかの実数の直積となることを示した。また、ヴァイスマン構造をもつ新しい可解多様体を構成した。さらに、ヴァイスマン可解多様体は、計量や複素構造を変形しても、非ヴァイスマンな局所共形ケーラー構造をもたないことを示した。 上記の意義と重要性は、以下の通りである:エルミート多様体にはある種の同値性が定義される。ヴァイスマン可解多様体は、ハイゼンベルグリー群と1次元の実数との直積からできる多様体と、この意味で同値であることが知られているが, 本研究はその可解リー群の構造に言及した。ハイゼンベルグリー群と1次元の実数の直積からできるべき零多様体は局所共形ケーラー構造をもち、これはヴァイスマン構造である。また、局所共形ケーラー構造をもつべき零多様体はこれに限ることが知られていた。べき零多様体の場合と異なり、非ヴァイスマンな局所共形ケーラー可解多様体は多数存在することが知られている。本研究では、ヴァイスマン構造においても、べき零多様体と異なる新しい例が存在することを示した。局所共形ケーラー幾何において、ヴァイスマン構造についてはホップ多様体に代表されるようによく研究されてきた。本研究にて、可解多様体におけるヴァイスマン版と非ヴァイスマン版に分断を与えたことは、これらは異なる研究対象であることを示唆している。
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