研究実績の概要 |
1.最終年度の研究成果 Karimov氏と共同でtrivial shapeを持ち、任意のnに対して局所n連結かつn次元ホモトピー群が消えるが可縮ではない(したがってANRではない)無限次元コンパクト距離空間の系統的な構成法を与えた。Karimov-Repovsによる2006年の結果を拡張したものである。
2.研究期間全体における成果 1)いくつかのBanach-Stone型定理を幾何学的なアプローチによって証明した。特にa) リーマン多様体上のC1級関数の全体のなすバナッハ空間およびb)コンパクトハウスドルフ空間上の連続関数のなすバナッハ空間に対する定理を得て、底空間の幾何およびトポロジーとの関係を見出した。2)三浦毅・古清水大直氏との共同研究でC1級関数のなすバナッハ空間上の等長写像の特徴づけを行った。また羽鳥理・大井志穂氏との共同研究によって、ある単射的テンソル積空間上の等長写像を特徴づけた。 3)測地的距離空間上のリプシッツ関数環に対するHochschildコホモロジーを計算し、多様体上の滑らかな関数のなす関数環についてのHochshild-Kostant-Rosenbergの定理との対比を明らかにした。4)射影極限上に定まるシフト写像の平均次元の計算を行い、Erceg-Kennedyによって見出された位相的エントロピーにおける二極化現象を精密化した。5)W.Debski, E.D. Tymchatyn, M. Tuncali氏との共同研究によって、位相的完備空間上の閉被覆から得られる射影系の標準的構成法を与え、その極限は元の空間とホモトピー同値であることを示した。6)U.Karimov氏との共同研究によって、局所連結ですべてのホモトピー群が消えるが、可縮でないような無限次元コンパクト距離空間の一般的構成法を与えて、Karimov-Repovsの結果を一般化した。
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