研究実績の概要 |
トポロジー,数理物理,数論をつなげる研究を推進し,その成果としてクイバーのミューテーションの列に付随する分配関数を導入し,その基本的な性質,特に量子ダイログ関数との関係を確立した加藤・水野氏との研究成果をまとめた論文が A. Kato, Y. Mizuno, Y. Terashima, "Quiver mutation sequences and q-binomial identities", IMRN, Issue 23 (2018), 7335-7358 として学術論文誌に掲載された.クイバーのミューテーションの列に付随する分配関数はq二項係数を用いて定義される多項式であり,それが無限積である量子ダイログ関数のある種の比として表される点は,様々な文脈で現れるクイバーのミューテーションの列に応じて異なる興味深い解釈があると思われ,これからの発展が期待できる.また,クラスター代数と結び目の位相的不変量であるアレクサンダー多項式の新しい関係の発見としてクラスター変数の特殊化と二橋結び目のアレクサンダー多項式が一致することを示した永井氏との研究成果をまとめた論文を W. Nagai, Y. Terashima, "Cluster variables, ancestral triangles and Alexander polynomials", arXiv:1812.02434 として公表した.これはトポロジーと数理物理の橋渡しになる結果であり,さらに深めていきたい.
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