研究実績の概要 |
2019年度は本来は最終年度であったので,「指数定理の導出」および「具体例への適用」という目的を達成する予定であったが,新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により研究の進捗が遅れており,現段階までに得られた成果は以下のとおりである. 指数定理を離散化するという方針のもとに推進した,Ginsparg-Wilson 指数が関与する指数定理(夏目利一との共同研究)および多面体に対する Gauss-Bonnet 定理と Alexander-Spanier コホモロジーに関する研究について,まず第一の研究については Fuzzy sphere 上の指数定理を含む具体例への適用が可能となり,2次元球面のポアソン構造から誘導される巡回コサイクルを用いた記述を完成させることができた.また第二の研究である離散化に関連しては,多面体に対する Gauss-Bonnet 定理の高次元化や Alexander-Spanwoier コホモロジーとの関連性が明確となった.また第二の研究に関連して,有界コサイクルが関与するリーマン面上の指数定理に関しても一定の成果を得た.さらに第三の研究である Godbillon-Vey 葉層特性類,あるいはそのファイバー積分である Bott-Virasoro 類に関連して,等質中心アファイン平面曲線のなす空間の研究(2018年度後半に開始した黒瀬俊および藤岡敦との共同研究)において,この空間にシンプレクティック作用する単位円周の微分同相群の役割が明確となり,作用に対する運動量写像を明確に構成し,Bott-Virasoro群との関連を明らかにすることが可能となった. これらの成果を,招待講演として以下の国際研究集会 1) Workshop on Non-commutative Geometry and Symplectic Geometry, Sichuan University, Chengdu, China, June, 25, 2019; 2) International Workshop on Geometry of Foliated Spaces, BKC Campus, Ritsumeikan University, Kusatsu, JAPAN, November 29, 2019 において報告した.
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