研究実績の概要 |
与えられたホモトピー論的な空間の性質をpolyhedral product Z_K(X,A) がいつみたすのか、つまり、単体複体Kの組み合わせ的情報と空間対 (X,A) の性質とで特定するという問題は、polyhedral productのホモトピー論の原動力である。本年度は、polyhedral product Z_K(X,A) が有限Postnikov空間、つまり、ある次元より上のホモトピー群が自明であるような空間にいつなるのかとういう問題に関して、入江幸右衛門氏(大阪府立大)、Ran Levi氏(University of Aberdeen)とともに取り組んだ。当然この問題はpolyhedral productのホモトピー論において基本的なものであり、解決されるべきものである。私はホモトピーファイブレーション
Z_K(CF,F) --> Z_K(X,A) --> X^m
に着目しこの問題へアプローチした。ここで、Fは包含写像A --> Xのホモトピーファイバーであり、mは単体複体 K の頂点の数である。鍵となったのは Z_K(CF,F) の解析であり、これを用いてZ_K(X,A) が有限Postnikov空間になるための必要十分条件を得た。さらにこの結果を拡張し、有限個のk不変量だけ非自明である場合や、一般有限Postnikov空間(polyGEMともいう)へと結果を拡張した。この結果は、カナダ・トロントのフィールズ研究所における国際集会で発表し、大きな反響を得た。
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