研究実績の概要 |
ポリヘドラルプロダクトZ(K;(X,A))は抽象単体複体Kの組み合わせ的な情報を用いて、空間対(X,A)から構成される空間である。ポリヘドラルプロダクトは、座標部分空間配置やその補空間、また、トーリックトポロジーにおける(実)モーメント・アングル複体やDavis-Januszkiewicz空間を含む重要な研究対象である。定義より、ポリヘドラルプロダクトは単体複体Kの組み合わせ的な情報を含んでいる。したがって、与えられたホモトピー論的な性質(例えば、サスペンション空間であるなど)を、ポリヘドラルプロダクトZ(K;(X,A))がみたすための抽象単体複体Kと空間対(X,A)の性質を特定するというのがポリヘドラルプロダクトのホモトピー論における基本的な問題である。
入江幸右衛門氏との共同研究で、コーンとその底との空間対(CX,X)に対して、Z(K;(CX,X))がサスペンション空間となる抽象単体複体のクラスを、fat-wedgeフィルトレーションという手法を確立することにより、いくつか特定し、shellable複体やsequentially Cohen-Macaulay複体のAlexander双対といった重要な抽象単体複体がそのクラスに入っていることを示した。
一方、射影CX-->\Sigma Xがポリヘドラルプロダクトに誘導する写像は、Kが単体の境界のとき、(高次)Whitehead積である。上記の研究で開発したfat-wedgeフィルトレーションを用いて、より一般の単体複体に対して、ポリヘドラルプロダクトとWhitehead積の関係を明らかにし、さらに、Golodやtightと呼ばれる抽象単体複体の代数的・組み合わせ的な性質を、ポリヘドラルプロダクトのホモトピー論を通して研究した。また、これらの結果の一般化を行うための準備も行なった。
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