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2020 年度 実施状況報告書

座標空間配置のホモトピー論

研究課題

研究課題/領域番号 17K05248
研究機関京都大学

研究代表者

岸本 大祐  京都大学, 理学研究科, 准教授 (60402765)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード座標空間配置 / polyhedral product / モーメント・アングル複体 / Davis-Januszkiewicz空間 / ホモトピー論
研究実績の概要

ポリヘドラルプロダクトZ(K;(X,A))は抽象単体複体Kの組み合わせ的な情報を用いて、空間対(X,A)から構成される空間である。ポリヘドラルプロダクトは、座標部分空間配置やその補空間、また、トーリックトポロジーにおける(実)モーメント・アングル複体やDavis-Januszkiewicz空間を含む重要な研究対象である。定義より、ポリヘドラルプロダクトは単体複体Kの組み合わせ的な情報を含んでいる。したがって、与えられたホモトピー論的な性質(例えば、サスペンション空間であるなど)を、ポリヘドラルプロダクトZ(K;(X,A))がみたすための抽象単体複体Kと空間対(X,A)の性質を特定するというのがポリヘドラルプロダクトのホモトピー論における基本的な問題である。

入江幸右衛門氏との共同研究で、コーンとその底との空間対(CX,X)に対して、Z(K;(CX,X))がサスペンション空間となる抽象単体複体のクラスを、fat-wedgeフィルトレーションという手法を確立することにより、いくつか特定し、shellable複体やsequentially Cohen-Macaulay複体のAlexander双対といった重要な抽象単体複体がそのクラスに入っていることを示した。

一方、射影CX-->\Sigma Xがポリヘドラルプロダクトに誘導する写像は、Kが単体の境界のとき、(高次)Whitehead積である。上記の研究で開発したfat-wedgeフィルトレーションを用いて、より一般の単体複体に対して、ポリヘドラルプロダクトとWhitehead積の関係を明らかにし、さらに、Golodやtightと呼ばれる抽象単体複体の代数的・組み合わせ的な性質を、ポリヘドラルプロダクトのホモトピー論を通して研究した。また、これらの結果の一般化を行うための準備も行なった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウィルス蔓延のため、海外への渡航が不可能となり、海外の共同研究者との研究打ち合わせを直接会って行うことが不可能となったため、いくつかのプロジェクトに遅延をきたしている。オンラインでの研究打ち合わせは時差が大きいため効率よく行えない。また、海外の研究集会等での研究発表も同様の理由で、通常通り行えなかった。

今後の研究の推進方策

単体複体のGolod性は、Stanley-Reisner環のある導来代数の積と(高次)Massey咳が全て自明であるとして定義され、古くから盛んに研究される。トポロジカルには、Golod性はモーメント・アングル複体を含むあるファイブレーションのEilenberg-Mooreスペクトル系列によって表すことができる。したがって、Golod性はポリヘドラルプロダクトと深く関係しており、最近行われている、ポリヘドラルプロダクトを用いた研究により、Golod性の理解は急速に進んでいる。

入江幸右衛門しとの共同研究で、曲面の三角形分割のGolod性に関しては、ポリヘドラルプロダクトを用いて、neighborlyという性質により特徴づけた。さらに、一般の2次元単体複体や3次元多様体の三角形分割の、tight性を用いたGolod性の特徴づけにも成功している。今後は、tight性とGolod性の関係を高次元多様体の三角形分割に対して考える。

また、Whitehead積とポリヘドラルプロダクトの研究も推進し、Jacobi恒等式などの一般化をポリヘドラルプロダクトを用いて行う。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルスの影響で、国内外における出張が不可能になり、次年度使用額が生じた。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 1件)

  • [国際共同研究] University of Aberdeen/School of Natural and Computing Sciences(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      University of Aberdeen/School of Natural and Computing Sciences
  • [国際共同研究] Queen Mary University of London/School of Mathematical Sciences(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      Queen Mary University of London/School of Mathematical Sciences
  • [国際共同研究] University of Regina/Faculty of Science(カナダ)

    • 国名
      カナダ
    • 外国機関名
      University of Regina/Faculty of Science
  • [国際共同研究] University of Southempton/Mathematical Sciences(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      University of Southempton/Mathematical Sciences
  • [雑誌論文] Note on Samelson products in exceptional Lie groups2021

    • 著者名/発表者名
      D. Kishimoto, A. Ohsita, M. Takeda
    • 雑誌名

      Glasg. Math. J.

      巻: 63 ページ: 741-752

    • DOI

      10.1017/S0017089520000567

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Higher homotopy associativity in the Harris decomposition of Lie groups2020

    • 著者名/発表者名
      D. Kishimoto and T. Miyauchi
    • 雑誌名

      Proc. Roy. Soc. Edinburgh Sect. A.

      巻: 150 ページ: 2982-3000

    • DOI

      10.1017/prm.2019.57[Opens in a new window]

    • 査読あり
  • [雑誌論文] On the growth of topological complexity2020

    • 著者名/発表者名
      D. Kishimoto and A. Yamaguchi
    • 雑誌名

      J. Appl. Comput. Topol.

      巻: 4 ページ: 525-532

    • DOI

      10.1007/s41468-020-00060-0

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Characterisation of polyhedral products with finite generalised Postnikov decomposition2020

    • 著者名/発表者名
      K. Iriye, D. Kishimoto, and R. Levi
    • 雑誌名

      Forum Math.

      巻: 32 ページ: 1253-1269

    • DOI

      10.1515/forum-2020-0059

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Whitehead products in moment-angle complexes2020

    • 著者名/発表者名
      K. Iriye and D. Kishimoto
    • 雑誌名

      J. Math. Soc. Japan

      巻: 72 ページ: 1239-1257

    • DOI

      10.2969/jmsj/82708270

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Generating functions and topological complexity2020

    • 著者名/発表者名
      M. Farber, D. Kishimoto, and D. Stanley
    • 雑誌名

      Topology Appl.

      巻: 278 ページ: 107235

    • DOI

      10.1016/j.topol.2020.107235

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

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公開日: 2021-12-27  

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