研究課題/領域番号 |
17K05255
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
宮澤 康行 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (60263761)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | knotoid / 不変量 / enhanced bracket 多項式 / 結び目理論 |
研究実績の概要 |
今年度は,“knotoid”に対する enhanced bracket 多項式の開発と,その多項式の定義に用いられ多項式の性質に深く係わる “ステイト” と呼ばれる図式の特徴に関する研究を行った。enhanced bracket 多項式はその名称から容易に想像出来るように結び目に対する bracket 多項式の“knotoid”版と考えると分かり易い。ただし,“knotoid”独自の特性が反映された影響により結び目の bracket 多項式に比べてより精密化されている。研究成果は,論文「An enhanced bracket polynomial for knotoids」,「An oriented knotoid diagram has no singular states」としてまとめられ,現在専門雑誌に投稿中である。近い将来,公表されるに至ることと思う。 また,研究集会「拡大KOOKセミナー2018」,「2018年度琉球結び目セミナー」において,口頭での発表も行い成果の公表に努めた。 当初の当該年度の主要計画は,「結び目の Kauffman 多項式に相当する “knotoid”の Kauffman 多項式を結び目の不変量を経由することなく組合せ的に構成する」という課題の実現を目指すことであった。しかし,残念ながら,“knotoid”の Kauffman 多項式の開発研究に着手するには到らなかった。冒頭に記載したように,初年度に開発した “knotoid”に対するHOMFLY 多項式に関する研究から派生した enhanced bracket 多項式の開発研究とそれに付随するステイトの研究に時間を割いたためである。よって,“knotoid”の Kauffman 多項式の開発は次年度の最優先課題としたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りとまではいかないが,研究課題に付随した研究から研究成果を収めることが出来,当初の研究課題の実現に向けて有益な準備ができたため。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要・現在までの進捗状況の項で述べたように,当初の計画からは若干ではあるが遅延が生じている。しかしながら,研究の停滞ではなく進展であるがゆえ,微細な修正を以って計画に沿い研究に邁進することが適正な方策であると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
交通費等の影響により旅費の使用計画概算額と実費との差額が生じたため。図書の購入に充てる計画である。
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