研究課題/領域番号 |
17K05256
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高田 敏恵 九州大学, 数理学研究院, 准教授 (40253398)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 量子不変量 |
研究実績の概要 |
結び目の量子不変量の一つである、n-colored Jones polynomialに関する予想「slope conjecture」さらにより強い「strong slope conjecture」について研究を推進した。nが十分大きいとき、n-colored Jones polynomialの最大次数と最小次数は、nについての2次の多項式となることが知られており、その2次の係数が結び目の幾何的不変量であるboundary slopeであるというのが「slope conjecture」である。更にそのslope を与える曲面のtopology を1次の係数が与えているというのが「strong slope conjecture」である。結び目Kのcablingによって得られる結び目についてのslope conjectureについてのkalfagianniとTranによる証明にミスがあることがわかり、その証明の修正を行った。さらに実際にkalfagianniとTran の証明が使えない例を構成した。その結果を金沢における研究集会において発表した。KのWhitehead doubleより、より一般的なtwisted generalized Whitehead doubleの「strong slope conjecture」に関するBaker氏、茂手木氏との共同研究によって昨年得ていた結果にミスがあることがわかり、その修正を行い、Baker氏が所属するマイアミ大学において3人で議論をすることにより、より分かりやすい証明を与えることができた。 また3次元多様体の(Chen-Yangの)量子sl(2)不変量について、田中氏によって得られたskeinをもちいたンズ空間L(p,q)に対する公式の漸近挙動に関する結果をえた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Kalfagianni, Tranの証明にミスがあり、その結果をもちいたgraph knotのstrong slope conjectureの証明の修正, またtwisted generalized Whitehead doubleのstrong slope conjecture 証明の修正に時間を割いてしまったが、修正においてより明確な証明の手法を発見し、その手法は今後の研究の推進に役立つと思われる。 またレンズ空間の量子不変量の漸近挙動について挙動について結果を得た。
|
今後の研究の推進方策 |
Cabling についての証明において追加した条件について一般の結び目でも成り立つと予想される。それが証明できれば、われわれの結果がより広範囲の結び目について適用することができる。twisted generalized Whitehead doubleについての証明の修正においてえたより明確な証明手法をもちいることにより、他の結び目操作のもとでのstrong slope conjectureについて研究をおこなう。前年度に引き続きMasur doubleについて「strong slope conjecture」について得た結果を論文にまとめる。さらに、n-colored Jones polynomialに関する他の予想との関連についても調べたい。 大槻氏との共同研究によってある3つの例外ファイバーをもつある特別なクラスについて他のクラスの漸近挙動についての研究を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
事情により、予定していた講演をキャンセルしたため、旅費の残額が生じた。残額は、本年度の旅費に当てる予定である。
|