研究課題/領域番号 |
17K05262
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
小沢 誠 駒澤大学, 総合教育研究部, 教授 (50308160)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 結び目 / height / trunk / representativity / 最小交点数 / 最小橋数 / 3次元多様体 / ヒーガード分解 |
研究実績の概要 |
Ryan Blair氏と結び目のモース位置について共同研究をした。結び目の連結和に関してheightは加法的であるという予想の反例を構成した。また、trunkとrepresentativityの間の不等式を導出した。また、一つ穴開きクラインの壺を張る結び目で、任意に高いrepresentativityを持つものを構成した。これらの結果は、論文「Height, trunk and representativity of knots」(arXiv:1709.07123)にまとめた。 Ryan Blair氏、Alexandra Kjuchukova氏と結び目の交点数と橋数の両立性について共同研究をした。16交点以下の少なくとも450,000個の素な結び目について、最小交点数の正則表示が存在して、そのリフトが最小橋数を与えることを確認した。しかし、ある交代結び目の最小交点数の正則表示が存在して、任意のリフトが最小橋数を与えないことを示した。これらの結果は、論文「The incompatibility of crossing number and bridge number for knot diagrams」(arXiv:1710.11327)にまとめた。 Kazuhiro Ichihara氏、J. Hyam Rubinstein氏と3次元多様体の分離的圧縮不可能曲面について共同研究をした。強既約ヒーガード分解に関して、分離的圧縮不可能曲面をモース位置に置くことで、ヒーガード曲面上において圧縮不可能部分曲面が存在することを示した。この結果は、論文「Decomposing Heegaard splittings along separating incompressible surfaces in 3-manifolds」(arXiv:1803.09023)としてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
多重分岐曲面について、近傍の包含関係による順序を定義して、半順序集合を得ることを目標としていたが、現時点まで完成していない。この1年間、様々な視点から多重分岐曲面に順序を導入することを考え、試行錯誤してきた。最近、共同研究において、近傍同値の必要十分条件が得られたので、これをマイナーや近傍順序に反映させ、理論を推進していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度は、多重分岐曲面に対して順序を導入することに集中してきたが、満足できる結果が得られていない。今後は、若干方向性を変え、多重分岐曲面の分解に集中していきたい。Neumann--Swarupの「Canonical Decompositions of 3-Manifold」等を参考にしつつ、多重分岐曲面の標準的分解定理の証明を目標とする。 また、分岐が1つの多重分岐曲面について、種数・境界数・スロープ・区域数を指標として、3次元球面への埋め込み可能性を分類していきたい。特に、種数1・境界数1の区域のみを持つ多重分岐曲面について、本質的な埋め込みを持つとき、区域数が高々5であることを示したい(Eudave-Munoz--Ramirez Lozada--Valdez Sanchez予想)。更に、acylindricalなものについては、高々2であることを示したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
イタリア・コルトーナでの学会出張において、宿泊費が予定より安く収まった為、残額として19,726円が生じた。 今年度、ブラジル・リオデジャネイロで開催される国際数学者会議「ICM2018」での出張旅費に充てる予定である。
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