研究課題/領域番号 |
17K05262
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
小沢 誠 駒澤大学, 総合教育研究部, 教授 (50308160)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 多重分岐曲面 / 臨界的複体 / クラトフスキーの定理 / 3次元球面 / 埋め込み |
研究実績の概要 |
2022年度は、メキシコ国立自治大学数学研究所に在外研究で訪問した。研究課題に従い「どの多重分岐曲面が3次元球面に埋め込み可能か?」について研究を続けていたが、3次元球面に埋め込みできない多重分岐曲面は臨界的な複体を含むことが分かり、研究の方向性は臨界的複体へシフトした。 まず、K_5×S^1及びK_{3,3}×S^1-familiesに含まれる全ての臨界的複体を決定した。より一般的に、GとHをグラフとしたとき、(G×S^1)∪Hの形を持つ臨界的複体を特徴付けた。この定理は、クラトフスキーの定理を本質的に証明に用いており、正しく研究課題の副題である「グラフ理論と3次元多様体論の融合」を実現している。 これらの例のように、一般に「複体がもし3次元球面に埋め込めないならば、それは臨界的複体を含む」(性質C)と予想される。しかしながら、この性質を満たさない複体が存在することが分かった。それらの複体は、3次元球面に埋め込めない任意の部分複体は、元の複体と同相な複体を含むという性質を持つ。このことから、二つの複体が同値であることを、それらの複体が互いに埋め込み可能であると定義した。この同値関係の下、包含関係により、自然に半順序集合が得られ、臨界的であることの再定義ができる。上記の性質Cは、再定義された臨界的複体について、2次元の場合に成り立つことを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べたように、3次元球面に埋め込めない多重分岐曲面は臨界的複体を含むことが分かり、(G×S^1)∪H型の複体に関して、臨界的なものの特徴付けができた。 また、臨界的であることの再定義をして、性質C「2次元複体がもし3次元球面に埋め込めないならば、それは臨界的複体を含む」を示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
二つの複体が互いに埋め込み可能であることの必要十分条件を求めたい。 また、性質C「複体がもし3次元球面に埋め込めないならば、それは臨界的複体を含む」を任意の次元で示したい。 複体について、半順序集合が得られたが、その構造を明らかにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
パンデミックの為、対面で学会が開催されず、旅費が計画通り使用できなかった為。
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