近年発展が目覚ましい量子情報理論の分野では,行列・作用素解析が数学的基礎として重要な役割を果たしている.本研究では,量子情報への応用を念頭において,行列・作用素解析に関連する種々の問題を不等式の観点から研究し,多方面にわたって成果を得た.行列・作用素解析に固有な問題として,行列・作用素に対する様々な不等式,2変数および多変数の作用素平均,および行列・作用素のマジョリゼーションについて,相互に関連させて研究を行った.量子情報の分野では,行列・作用素解析の手法を応用して,いくつかタイプの量子ダイバージェンスに対して,量子情報路の下での単調性とリバーシビリティなどについて研究した.
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