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2018 年度 実施状況報告書

自由因子に特異点をもつ微分方程式と関連する幾何学

研究課題

研究課題/領域番号 17K05269
研究機関東京農工大学

研究代表者

関口 次郎  東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (30117717)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード拡張WDVV方程式 / ポテンシャル・ベクトル場 / パンルベVI方程式
研究実績の概要

本年度の中心的な研究テーマは,昨年度に引き続き,パンルベVI方程式(=P(VI))の代数関数解からポテンシャル・ベクトル場(=PVF)を構成することである。これは琉球大学の加藤満生名誉教授と連携研究者の同大学眞野智行准教授との共同研究である。WDVV方程式を一般化した拡張WDVV方程式の解がPVFである。PVFからP(VI)の解が構成でき,また逆も成り立つことはすでに示されている。PVIの代数関数解は具体的に求めることができているので対応するPVFもそうであると期待される。Lisovvy-Tykhyyによって,P(VI)の代数関数解の分類は確立している。その結果によれば,一般の代数関数解はベックルント変換によっていくつかの系列の解と45種類の解のいずれかに変換される。特に45種類の解に注目し,これらに対応するPVFを構成することを問題にする。これまでに30種類以上の場合にいくつかの方法を使ってPVFを構成できたが,まだできていないものもあった。しかし加藤氏の提案したアイデアによって困難を克服でき,45種類の代数関数すべてに対応するPVFを求めることが可能になった。その一般的な枠組みはすでに論文にまとめてあり,報告集に発表予定である。それぞれの場合に具体的に明示することは,論文にまとめる予定である。
PVFは拡張WDVV方程式の解であるが,この非線形微分方程式系の解の一意性についての問題が残されている。特に鏡映群の場合に一意になるかどうか,という問題があり,本年度はそれを扱った。E8型実鏡映群と複素鏡映群の一種であるST34の場合に,初期条件を与えて解が一意になることを示した。この結果は論文としてまとめてあり,報告集に発表予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

45種類のP(VI)の代数関数解に対応するPVFを構成することは,拡張WDVV方程式を定式化するようになった数年前からの一つの大きな課題であった。これまでに得られたPVFの具体形を論文に発表していたが,まだ構成できていない代数関数解の場合があった。障害になったのは代数関数解から大久保型微分方程式系を求めることであった。これを克服することができたので,すべての代数関数解に対応するPVFを構成することが可能になった。それをもとに45種類の代数関数解すべてに対応するPVFを構成できた。しかし結果として得られた表示の中には複雑のものもありそれを簡明な表示でできるかどうかは課題として残っている。
鏡映群と関係する拡張WDVV方程式の解の一意性についての問題は,一部の成果はすでに論文にまとめており,今後はその他の場合に調べていく予定であり順調に研究は進んでいる。

今後の研究の推進方策

P(VI)の45種類の代数関数解に対応するPVFを求める計算はできたが,その結果をまとめることが残されている。いくつかの場合は計算結果が複雑になるのでそれをより簡明な形に整理できるかどうかが課題として残されている。今後計算結果を再度検討して整理できた場合を論文にまとめる予定である。このテーマは,加藤満生,眞野智行氏との共同研究である。
鏡映群に関係するPVFの一意性について調べることも研究テーマである。与えられた既約な有限実(または複素)鏡映群に対して,PVFの一意性は一般には不成立である。どの場合に一意性が成立するかを調べることを課題にする。すでにE8型実鏡映群,複素鏡映群のひとつであるST34の場合には論文にまとめて発表予定である。その他の場合に個別に検討していく予定である。このテーマも加藤,眞野両氏との共同研究である。
3次元の場合,鏡映群と関係する場合のPVFの研究はかなり進展したが,4変数以上の代数的ポテンシャルと実鏡映群との関係を調べることを研究テーマとして取り上げる。多項式であるポテンシャルと実鏡映群の関係についてはHertlingの結果があるが,代数的ポテンシャルについてのDubrovin予想は,これらのポテンシャルは実鏡映群のある種の共役類と対応するだろうという形に定式化される。この問題についてはパリ大学のJean Michel教授などと連絡を取り合い,すでにいくつかの準備的な結果を得た。2019年9月にドイツのハノーバーで開催予定の研究集会でその結果を発表する予定である。

次年度使用額が生じた理由

前年度繰り越し額が約9,000円,今年度未使用額が約6,500円であった。計約16,000円の残額があるが,次年度に繰り越しても使用可能でありそれが最適な使用法と判断した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件)

  • [学会発表] 概Belyi写像への自由因子の理論の応用2019

    • 著者名/発表者名
      関口次郎
    • 学会等名
      農工大数学セミナー2019
    • 招待講演
  • [学会発表] Uniqueness problem of potential vector fields related with reflection groups2019

    • 著者名/発表者名
      Jiro Sekiguchi
    • 学会等名
      Sminaire Groupes Representations et Geometrie
    • 招待講演
  • [学会発表] 複素鏡映群と平坦構造2018

    • 著者名/発表者名
      関口次郎
    • 学会等名
      研究集会「微分方程式と表現論」
    • 招待講演
  • [学会発表] Solutions to extended WDVV equations and Painleve VI equation2018

    • 著者名/発表者名
      Jiro Sekiguchi
    • 学会等名
      Complex differential and difference equations-onference
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2019-12-27  

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