研究課題
量子ウォークはランダムウォークを量子化したものであり、量子情報理論、特にグローバーのアルゴリズムと言われる探索アルゴリズムとの関連が強く、近年多くの研究がなされている。これまでに多くの量子ウォークのモデルが調べられているが、複数の量子ウォークの関係性についての研究結果は非常に少ない。本研究の目的は、この関係性を調べることにある。特に、2つの量子ウォークがユニタリ同値の関係にある場合は、スペクトルや確率分布といった、量子ウォークの研究の中で重要な性質が全て一致する。そのため、量子ウォークの間のユニタリ同値性を調べ、量子ウォークのユニタリ同値類を決定することが本研究の第一の目標である。本年度の研究では、1次元量子ウォークのユニタリ同値類の計算を行った。1次元量子ウォークは、量子ウォークの中でも最も多く研究されているもので、重要度も高い。この計算を行った結果、一般的な1次元量子ウォークのユニタリ同値類を決定することができた。また、1次元量子ウォークの特別なクラスである、シフト不変量子ウォーク、1つの特異点を含む量子ウォーク、2相量子ウォーク、1つの特異点を含む2相量子ウォークのユニタリ同値類について計算をし、それぞれいくつのパラメータで表されるかを完全に決定した。またこの研究内容は、“Unitary equivalence classes of one-dimensional quantum walks II”というタイトルで、Quantum Inf. Process.に掲載された。
2: おおむね順調に進展している
研究実績の概要で述べた通り、1次元量子ウォークの重要なクラスのユニタリ同値類を完全に決定することができ、またこれを論文として発表することができた。また、これに続く研究も順調に進んでいるため、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
1次元量子ウォークのユニタリ同値類については決定することができたので、2次元や多次元の量子ウォークや、円上の量子ウォークのユニタリ同値類を計算する予定である。このうちのいくつかについてはすでに結果を得られているが、未計算なものについても計算を進めていく。
すべて 2018 2017 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Quantum Information Processing
巻: 16 ページ: -
10.1007/s11128-017-1741-5
Journal of Algebra and Its Applications
巻: 16 ページ: 1750127~1750127
10.1142/S0219498817501274
http://soar-rd.shinshu-u.ac.jp/profile/ja.yFTmbpkh.html