研究課題/領域番号 |
17K05274
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
大野 博道 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (90554585)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 量子ウォーク / ユニタリ同値性 |
研究実績の概要 |
量子ウォークはランダムウォークを量子化したものであり、量子情報理論、特にグローバーのアルゴリズムと言われる探索アルゴリズムとの関連が強く、近年多くの研究がなされている。これまでに多くの量子ウォークのモデルが調べられているが、複数の量子ウォークの関係性についての研究結果は非常に少ない。本研究の目的は、この関係性を調べることにある。特に、2つの量子ウォークがユニタリ同値の関係にある場合は、スペクトルや確率分布といった、量子ウォークの研究の中で重要な性質が全て一致する。そのため、量子ウォークの間のユニタリ同値性を調べ、量子ウォークのユニタリ同値類を決定することが本研究の第一の目標である。 平成30年度の研究では、2次元2状態量子ウォークのユニタリ同値類の計算を行った。2次元2状態の量子ウォークのユニタリ同値類の計算では、1次元のときのやり方が通用しなかったため、これまでにない新しい計算方法を模索した。具体的には、量子状態を表すヒルベルト空間の正規直交基底を、量子ウォークが最も簡単に表せるように選び、その表現をもとにしてユニタリ同値類を計算した。結果として、2次元2状態量子ウォークのユニタリ同値類は、2つの実パラメータを用いて表せることがわかった。この研究結果は,“Parameterization of translation-invariant two-dimensional two-state quantum walks”というタイトルで、Acta Math. Vietnam.に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べた通り、2次元2状態量子ウォークのユニタリ同値類を完全に決定することができ、またこれを論文として発表することができた。さらに、これに続く研究も順調に進んでいるため、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
1次元、2次元の量子ウォークのユニタリ同値類の計算ができたので、次は円上や直線上の量子ウォークのユニタリ同値類の計算を行う。また、全ての量子ウォークに通用するユニタリ同値類の計算方法についても研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画で見込んだよりも安価に研究が進んだため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額は平成31年度請求額と合わせて旅費や消耗品費として使用する予定である。
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