本研究は量子ウォークの同値性、特にユニタリ同値類を求めることを目的としていた。量子ウォークはランダムウォークの量子化といえるものであり、量子の動きについて解析を行うものである。また、量子コンピュータで用いられる探索アルゴリズムなど、多くの重要な応用をもつため広く研究が行われている。 ユニタリ同値である量子ウォークは、その確率分布やスペクトルなど、重要な性質のほとんどが一致する。そのため、量子ウォークのユニタリ同値類を求めることで、解析するべき量子ウォークの数を減らし、研究をより簡単に行うことが出来るようになる。すなわち、本研究は、量子ウォークの研究全体に恩恵を与えるものである。一方で、ユニタリ同値類を求める計算は非常に煩雑になるため、これまであまり研究されてこなかった。 これまでの研究では、1次元および2次元量子ウォーク、また円上の量子ウォーク、スプリットステップ量子ウォークのユニタリ同値類の計算を行った。本研究は2年の延長を行っており、研究の本質的な部分についてはすでに終えている。最終年度である今年度は、これまでの研究の発表を行った。まず、すでに投稿していた論文である“Unitary equivalence classes of split-step quantum walks”がQuantum information Processing に掲載された。また、上記の論文と前年度の成果である“Parameterization of quantum walks on cycles”の結果を、2022年3月に行われた日本数学会2022年度年会において発表した。
|