研究課題/領域番号 |
17K05277
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小沢 登高 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (60323466)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 作用素環論 / 関数解析 / 群論 / ランダムウォーク |
研究実績の概要 |
トランプカードを混ぜ合わせるといった行為の数理モデルを吟味すると、ほとんど混じっておらず既存のパターンが残存する状態から十分に混じったほぼ無秩序な状態に極めて短時間で遷移するといった現象が見て取れる。このような相転移はカットオフ現象と呼ばれる。どのような確率過程においてカットオフ現象が観察されるかは興味深い問題である。この確率論の問題に関数解析学的アプローチを導入し、E. LubetzkyとY. Peresによるよく知られた定理の極めて簡明な証明を得た。これは「ラマヌジャングラフの上の単純ランダムウォークではカットオフ現象が起きる」という定理である。より一般の遷移的エクスパンダーグラフ上のランダムウォークでもカットオフ現象が起きるか否かは重要未解決問題として残されているが、新証明はこの問題についての新たな洞察を与えるものでもある。 他に北海道大学の鈴木悠平准教授とC*環上の群作用の従順性に関する研究を行った。従順性の研究は作用素環論の中心的なテーマである。群作用の従順性としてこれまで複数の定義が提案されてきたが、本研究ではそれらの同値性を示し、それを利用することで従順な群作用の新たな例をたくさん構成した。その結果、非可換(単純核型)C*環上の従順な群作用の世界には、これまで良く研究されてきた可換の場合とは大きく異なる興味深い動物たちが数多く生息していることが判明した。こうした動物たちの生態の詳細な研究は今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍のため、2020年度に計画していた多数の出張・招へいのうち、実行できたものは国内出張の2件のみとなった。この出張では北海道大学の鈴木悠平准教授と共同研究を行った。海外のある研究者と共同研究を行う具体的な計画があったが、コロナ禍のため不可能となった。計画していた共同研究は他分野の研究者と行う学際的なものであったため、言葉をすり合わせたりアイディアをぶつけ合ったりする必要があり、オンライン会合では実行不可能なことであった。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍が収束したら、出張・招へいを再開し、国内および海外研究者との共同研究を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、計画していた出張・招へいが実行できなかった。コロナ禍の終息は見通せないが、緩和した時点で国内出張・招へいを行う。
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