研究課題/領域番号 |
17K05283
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
桐木 紳 東海大学, 理学部, 教授 (50277232)
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研究分担者 |
相馬 輝彦 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (50154688)
中野 雄史 東海大学, 理学部, 特任講師 (50778313)
小川 竜 東海大学, 理学部, 講師 (90759143)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 力学系 / 微分同相写像系 / ヘテロ次元サイクル / 遊走領域 / ホモクリニック分岐 / Bogdanov-Takens分岐 |
研究実績の概要 |
本研究課題の実現のために,ヘテロ次元サイクルを持つ3次元微分同相写像系が縮小的な非自明遊走開領域を持つ微分同相写像系で近似できることを証明した.その結果を論文(Shin Kiriki, Yushi Nakano and Teruhiko Soma, Non-trivial wandering domains for heterodimensional cycles, Nonlinearity 30 (2017) 3255--3270)にまとめとめ出版した.その証明過程でTatjer条件を満たすホモクリニック接触の存在を明らかにし,Bogdanov-Takens分岐を経て縮小的不変円の出現を確かめた.実際の手続きは次のようなものである: ステップ 1 :ヘテロ次元サイクルを持つ3次元微分同相写像系が非横断的サイクルを持つ微分同相写像系でC^r (r≧2) 近似できることを示した. ステップ 2 : その非横断的サイクルを持つ微分同相写像系が一般化されたホモクリニック接触を持つ微分同相写像系でC^r (r≧2) 近似できることを示した. ステップ 3 : Tatjerの結果を使い,一般化されたホモクリニック接触からBogdanov-Takens分岐が発生し,それは不変円を生むことを確認した. ステップ 4 : 最後にステップ 3で得られた不変円に対してDenjoyのような方法を使い非自明遊走開領域を持つ微分同相写像系を得た.このステップはC^1近似である. 以上の手続きを経て論文の主定理を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
途中経過を論文として発表することに成功したが,この論文で存在を明らかにした遊走開領域が本研究の最終目的であるヒストリックな挙動を持つかはまだ不明である.
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今後の研究の推進方策 |
まずHenon写像の直積系といった例を構成し,余次元2の接触の存在を確認しようと考えている.それに対して我々の過去の論文 (S. Kiriki and T. Soma, Takens’ last problem and existence of non-trivial wandering domains, Adv. Math. 306(2017) 524--588)で発表した2次元微分写像系に対する手法を高次元に拡張する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していたノートパソコンの発売が遅れたために当該年度に購入できなかった.次年度以降に購入する予定である.
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