研究実績の概要 |
最終年度に実施した研究の成果は以下の通りある: 1. 蔚山大学准教授Hyun Ho Lee氏および群馬大学准教授照屋保氏と以下について共同研究した。大坂-照屋との研究で綿谷指数有限な単位元を持つC*環-包含関係 A ⊂ B上のトレース的ロホリン性をBalark, Szaboによって導入されたAからBへの*-表現φを, AからAのproduct C*-環A^∞への埋め込み写像とBからA^∞への*-表現ψで分解するsequentially split *-表現のアイデアを、トレース的な版に拡張した定義について再考した。単位限を持たないC*-環包含関係のロホリン性は、照屋氏との共同研究でほぼ終わり、先の*-表現φ:A -> Bを包含写像、*-表現ψ:B -> A^∞をψ(φ(a)) = a (a ∈ A)を満たすようにとれるが、このψを直交性を保存する完全正値写像に取り替えた際のBからAへのC*-環の不変的性質の遺伝性についてはまだ考察中である。 2. IITBombay校の Santanu Dey氏、Priyabrata Bag氏との共同研究において量子情報理論における密度状態のエンタングルメント性に関する幾何的不和と密度状態の部分転置後の負の固有値の分布との関係における予想に対して具体的な反例を可算無限個構成すると共に数学的な評価式を提出した。また、千葉大学教授渚勝氏も参加し、任意の自然数m, n に対して、C^m とC^nのテンソル積における状態のSchmidtランクが2,3,4以上の状態しか存在しない部分空間を行列のテクニックを用いて構成した。これらは、エントロピーの評価に応用できる可能性がある。 3. ISIBnagalore校教授B. V. Rajarma氏との共同研究において、量子情報理論における大きな問題になっている行列環間における正値線形写像のテンソル正値不変性に関する結果をC*-環レベルで提出した。これは、2007年のPiani氏らの結果の一般化であり、しかも証明は冨田ー竹崎の理論を使用するが、明確になっている。
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