研究課題/領域番号 |
17K05286
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
内山 充 立命館大学, 総合科学技術研究機構, プロジェクト研究員 (60112273)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 作用素関数 / 作用素単調関数 / 行列平均 / 行列幾何平均 |
研究実績の概要 |
国内の対面での研究集会・学会が人数制限と感染対策の下で数年ぶりに実施された。9月に北大で開催された「日本数学会秋季総合分科会」では「symmetric matrix means」の題目で講演し、新潟大学渡辺教授等と意見交換した。また、「実関数論・関数解析学合同シンポジュウム」(日本大学)、「作用素論・作用素環論研究集会」(大阪教育大)などの研究集会に参加し情報を収集した。3月に中央大学で開催された「日本数学会年会」では、「関数論分科会」にも出席するなど、当研究課題に関連した情報を収集した。2022年度の研究の進捗状況は以下の通りである。 3個の正定値行列の算術平均・調和平均は数の場合と同様に一意的に自然に定義される。幾何平均については Ando, Li, Mathias によって定義されているが、その方法を一般的な対象的な平均に拡張することが予想問題として2005年に提起された。2013年に Palfia 氏の二つの論文によって証明されたが、複雑であった。私は距離として作用素ノルムを用いて簡潔に証明した。そして、幾何平均が行列の一次結合で表されるための十分条件を与えた。これらの結果は ‘Symmetric matrix means’ として纏められ、専門雑誌 Linear Algebra and its applications に受理され印刷済みである。 Collected work ‘Matrix and Operator Equations and Applications' (Editor: M. S, Moslehian) が Springer Nature Switzerlandから出版される予定であり、現在印刷中である。私はこの本の第5章を ‘Geometric Mean and Matrix Quadratic Equation’ のタイトルで執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で国際研究集会での発表ができていないが、当研究課題の当初の目的はほぼ達成している。行列平均と2次方程式に関する私の最近の研究について、 Springer Nature から出版される Collection Work 'Matrix and Operator Equations and Applications' の第5章として執筆するよう依頼された。現在査読も終わり印刷の校正段階である。
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今後の研究の推進方策 |
3個の正定値行列の幾何平均あるいは一般的な対称平均を構成できたが、あくまでそれは極限操作で得られているに過ぎない。それを一つの式で表現できるかという問題に取り組みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度も対面で開催された国際研究集会は皆無で、国内の研究集会もある程度緩和されたものの研究のため自由に往来することは困難であった。現在使用している研究用 PC は Windows 7 と古いため、更新したい。
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