オルンシュタイン=ウーレンベック半群の超縮小性の発見は,1973年のE. ネルソンによる研究にまでさかのぼるもので,上述の研究成果によりその成立の背後にある一般的な枠組みが明らかになったことは意義あることと思われる.また,ブラウン運動の数学的な構成は1923年にN. ウィナーによりなされ,マルチンゲールやマルコフ過程,またガウス過程といった様々な確率過程のクラスにおける典型例を与えることから,以来確率論においてブラウン運動は基礎的かつ重要な位置を占めてきた.このように現代確率論の中で長い研究の歴史をもつブラウン運動に対して新たな性質が見出されたことは意義深いことと考えられる.
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