研究実績の概要 |
確率空間(Ω,Σ,P)上のフィルトレーションF=(Fn)が与えらえたとき、各nに対してfnが積分可能な離散時確率過程f=(fn)のFに関する良可測射影Of=(Ofn)及び可予測射影Pf=(Pfn)をそれぞれOfn=E[fn|Fn],Pfn=E[fn|Fn-1] (n=1,2,3,...)のように定義する。 XをΩ上のBanach関数空間とし、1≦p<∞とする。以下、確率過程h=(hn)に対して、|hn|のp乗和の1/p乗をλ(h:p)で表し、λ(h:p)のXにおけるノルムの値をN(h:X,p)で表す。 これまでの研究により、各fnが積分可能な任意の確率過程f=(fn)に対して、不等式N(Of:X,1)≦CN(f:X,1)が成り立つための必要十分条件、不等式N(Of:X,p)≦CN(f:X,p) (1<p<∞)が成り立つための必要十分条件などが得られている。但し、Cはf=(f_n)に依存しない定数である。同様に、N(Of:X,1)≦CN(f:X,1),N(Of:X,p)≦CN(f:X,p)が成り立つための必要十分条件が得られている。 令和5年度には上記の結論を拡張する結果を得るべく、研究を進めた。その結果、Xをその弱空間にw-Xに置き換えて、同様の不等式が成り立つための必要十分条件を得ることができた。但し、Xの弱空間とは、集合{ω|x(ω)>η}の指示関数Xにおけるノルムの値にηを乗じた値が上に有界な確率変数xの全体として定義される準Banach関数空間である.特にXがLp-空間の場合には、w-Xは弱Lp-空間になる。この研究により得られた結果は、まだ未発表であるが、更に関連する研究を進め、その結果と合わせて論文として発表する計画である。
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