研究実績の概要 |
今年度は前年度に引き続き, まずはSergio Albeverio (Bonn大学), Michael Roeckner (Bielefeld大学)両氏と, (cut-offが入った)exp(\phi)_{2}-量子場の確率過程量子化に現れるDirichlet形式の生成作用素の本質的自己共役性についての研究に集中したが, exp(\phi)_{2}-量子場だけでなく, sine-Gordon 量子場モデルでも同様の結果が得られることが分かった。これらの進展を議論するために2月末にBonnに2週間弱滞在し, 滞在後にプレプリントが完成した。共同研究者の最終点検の後に近日中にarXivに公開し, 専門誌に投稿する予定であるが, すでに国内での研究集会, セミナーにおいて口頭発表を行っている。また研究分担者の楠岡誠一郎氏と九州大学の星野壮登氏の協力を得て, 特異確率偏微分方程式の視点からこの拡散過程を直接構成し, Dirichlet形式から得られる拡散過程と一致することも示した。この研究成果は7月にプレプリントをarXivに公開し, 現在は海外の専門誌に投稿中である。
その他に, 前年度に投稿した石渡聡 (山形大学), 難波隆弥 (立命館大学)両氏とのベキ零被覆グラフ上の非対称ランダムウォークの中心極限定理に関する論文2編の改訂作業を行った。またこの研究に関して7月に上海で行われた国際研究集会で招待講演を行い, 8月に東京大学で行われた「サマースクール数理物理」で3コマの集中講義を行った。
さらに東京確率論セミナーに他大学から講演者を招き, 関連研究分野の情報収集を行ったが, 数人分の旅費を本研究費からサポートした。
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