研究実績の概要 |
Sergio Albeverio 氏(Bonn大学), Michael Roeckner 氏(Bielefeld大学), Stefan Mihalache氏と, (cut-offが入った)exp(\Phi)_{2}-量子場およびsine-Gordon量子場双方の確率過程量子化に現れるDirichlet形式の生成作用素の本質的自己共役性についての研究を行い, 前年度までにプレプリントがある程度完成していたが, 今年度はこのプレプリントの更なる改良を行い, 4月末にarXivに公開した。これにより本研究課題の大きな目標が達成された。この論文は海外の専門誌に投稿したが, 現在審査中である。
また昨年度, 研究分担者の楠岡 誠一郎 氏と星野 壮登 氏 (九州大学)の協力を得て, exp(\Phi)_{2}-量子場を不変測度とする拡散過程を白色雑音が駆動する特異確率偏微分方程式の強解として直接構成し, Dirichlet形式から得られる拡散過程と一致することを示したが, arXivにすでに公開していたプレプリントの改訂作業を今年度に行い, 年度末に出版された。その他に, 前年度までに投稿した石渡 聡 (山形大学), 難波 隆弥 (立命館大学)両氏とのベキ零被覆グラフ上の非対称ランダムウォークの中心極限定理に関する論文2編のさらなる改訂作業を行い, 2編とも出版された。
今年度は予想外のコロナ禍にみまわれたために, 共同研究者達との研究連絡に支障が生じ, 来年度への延長が決まったが, 来年度には研究連絡を行い更なる進展が得られることを期待したい。
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今後の研究の推進方策 |
Albeverio, Roeckner, Mihalache 3氏との共著論文では, 有色雑音が駆動する確率量子化方程式の解の生成作用素 (Dirichlet作用素)の拡大の一意性を示したが, 白色雑音が駆動する場合の生成作用素の拡大の一意性はまだ得られていない。楠岡, 星野両氏との論文で得られた確率量子化方程式の強い解に対する評価式を用いてこの問題への考察を進めたい。
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