研究課題/領域番号 |
17K05303
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
安藤 和典 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 准教授 (70774884)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ノイマン-ポアンカレ作用素 / スペクトル理論 / 散乱理論 |
研究実績の概要 |
本研究は、2次元のノイマン-ポアンカレ(NP)作用素のスペクトル解析を行い、プラズモン共鳴の解析などへの応用を目的とする。当初の計画では、角がある領域でのNP作用素のスペクトルの摂動理論および散乱理論を行う予定であったが、連携研究者の宮西氏および研究協力者のKang氏と研究打ち合わせを行い、これまでの共同研究の流れから直近の研究課題として以下のような内容の研究を優先して行った。いずれもNP作用素のスペクトル解析の研究としては最新の結果であり、以下のような理由により応用上重要であると考える。(1)3次元トーラス曲面上のNP作用素の負の固有値が無限個あることの証明、3次元曲面上のNP作用素の負の固有値が無限個存在することの証明としては最初の結果である。宮西氏、Kang氏とさらに2人の研究者の川越氏とJi氏との共同研究である。(2)2次元の滑らかな境界上の弾性NP作用素の固有値の集積点への収束の速さと境界の滑らかさの関係、この結果はラプラシアンに対するNP作用素に対する我々の結果の弾性方程式への拡張版であり、角がある境界上の弾性NP作用素のスペクトル解析への発展につながる点で重要な結果であると考える。宮西氏、Kang氏との共同研究である。(3)3次元の滑らかな領域が摂動した時のNP作用素の固有値の挙動についての研究、この研究では3次元球面が滑らかに摂動した時の"1/2予想"と呼んでいる結果についての部分的な結果を得た。NP作用素の固有値の摂動については、シュレーディンガー作用素などの微分作用素に比べてまだ分かってないことが多く、NP作用素のスペクトル解析についての基本的かつ重要な結果であると考える。宮西氏、Kang氏、牛越氏との共同研究である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
共同研究者とのこれまでの研究経緯から、必ずしも研究の方向性が同じであるとは言えないため、研究のリソースを本研究に集中することがうまくいっていない。しかし、本研究の関連研究について共同研究者との良好な関係のもと進めることができているので、2次元で角がある領域上のノイマン-ポアンカレ作用そのスペクトル解析および散乱理論についての研究についてまとめたい。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者である安藤が中心となり、2次元で角がある領域におけるノイマン-ポアンカレ作用素のスペクトル解析および散乱理論を核とする研究課題を推進する。安藤が時間的・技術的にフォロー仕切れない部分については、連携研究者である宮西氏や研究協力者であるKang氏に助言を求めていくこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
書籍を購入予定であったが金額の残予算を超えていたので、次年度に持ち越すことにしたことにより次年度使用額が生じた。
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