領域境界の滑らかさおよび形状とノイマン-ポアンカレ作用素の固有値の関係について主に研究を行なった。 2次元有界領域で境界の滑らかさが解析的な場合、ラプラシアンに付随するノイマン-ポアンカレ作用素の固有値は指数関数的に減衰することを示した。また、固有値の指数減衰のある意味で最良の評価を得ることができた。また、ラメ作用素に付随するノイマン-ポアンカレ作用素の固有値はラメ定数で定まる2点に集積することが知られているが、先ほどと同様な領域の場合、固有値の集積の速さが指数関数的であることも示した。 3次元領域では、領域境界が球から徐々に変形するときの固有値の分岐についての研究を行い、ラプラシアンに付随するノイマン-ポアンカレ作用素の固有値をいくつかまとめたときのフレッシェ微分のの微分係数が0であることを示した。また、3次元トーラス面上の同作用素には負の固有値が無限個存在することを示した。さらに、3次元球面の場合にラメ作用素に付随するノイマン-ポアンカレ作用素の固有値がラメ定数で定まる3点に収束することが既に示されていたが、一般の滑らかな3次元有界領域のときも同様であることを示した。
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