研究実績の概要 |
零エネルギー加法汎関数を含む非局所型ファインマン・カッツ汎関数重み付き半群(一般化ファインマン・カッツ半群)をめぐる様々な確率論的主張およびその周辺の応用問題に対して、ディリクレ形式論やポテンシャル論といった関数解析的取り組みを通じて以下の研究を行った。
(1)一般化ファインマン・カッツ半群におけるスペクトル半径のLp-独立性の結果を、基底マルコフ過程における規約性などといった条件を外した形で成立させることができ、既存の結果をはるかに含む良い結果を得た。本研究成果は米ワシントン大学のZhen-Qing Chen 氏と福岡大学の桑江一洋氏との共同研究に基づくものである。研究成果は Mathematische Annalen Vol. 374(1-2), 601-652 (2019)に掲載された。(2)非局所型ファインマン・カッツ汎関数をポテンシャルとしてもつ分数ベキシュレディンガー作用素において、既存の局所型ポテンシャルにおけるカッツの散乱長公式を非局所な場合を含む形で一般化した。また、その応用として、そのシュレディンガー作用素が離散スペクトルをもつための解析的特徴付けを与えた。本研究成果は鹿児島高専の松浦将國氏との共同研究に基づいたものである。研究成果は Mathematische Nachrichten Vol. 293(2), 327-345 (2020)に掲載された。また、コンパクト台を持たないハーディー型ポテンシャルにおける散乱長の準古典的極限問題の確率論的取り組みを通じて、既存の解析的な立場での結果を拡張した。研究成果は現在審査中。
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