研究課題/領域番号 |
17K05316
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
津川 光太郎 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 准教授 (70402451)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 分散型方程式 / 非線形 / 初期値問題 / 適切性 / シュレディンガー方程式 |
研究実績の概要 |
一次元トーラス上の非線形分散型方程式の初期値問題について考え,非線形項の対称性や代数的構造と適切性の関係について研究を行っている.双曲型波動方程式の場合には零形式と呼ばれる型の非線形項の場合には,解の正則性や時間無限大での減衰オーダーについて一般の場合より良い結果が得られることが知られている.本研究の目的は広い分散型方程式の場合に対して同種の結果を得ることである.手始めに,1階の微分を含む非線形項を持つSchrodinger方程式の時間局所適切性について研究を行った.ある汎関数を用いた条件により,非線形項を適切性の観点から以下の二つのグループに完全に分類することに成功した.一つ目は,初期値関数をソボレフ空間の元として与え,十分滑らかな初期値であれば時間局所適切性が成立するグループで,二つ目は十分滑らかな初期値に対しても時間局所適切性が成り立たないグループである.この二つ目のグループは,方程式は半線形であるにも関わらず,非線形項を摂動として扱うことが出来ず,線形項の分散効果と非線形項の効果を併せ持つという事を意味している. また,三階の完全非線形分散型方程式に対しても同様の研究を行っている.この場合にもある汎関数により方程式を適切性の観点から二通りのグループにに分類できると思われる.一つ目は,十分滑らかな初期値であれば時間局所適切性が成立するグループで,二つ目は放物型方程式特有の平滑化効果と適切性が成り立つグループになるとの予想が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の最終目的は,KdV階層やSchrodinger階層を全て含むような高階の非線形分散型方程式を扱う事であるが,手始めとして1階の微分を含む非線形項を持つSchrodinger方程式について完全に解決し,これにより今後の方針もたったので順調に進展していると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた結果をもとに,高階のKdV方程式やSchrodinger方程式へと拡張する.このために先ずは4階のSchrodinger方程式や7階のKdV方程式からはじめて,その後一般の場合へと拡張する.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究に忙しく研究集会に頻繁に参加することが出来ず旅費が予定より少なかった.翌年度の旅費として使用する計画である.
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