研究課題/領域番号 |
17K05327
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
杉江 実郎 島根大学, 学術研究院理工学系, 教授 (40196720)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 関数方程式論 / 安定性理論 / 造血幹細胞モデル / 食物連鎖モデル / 振動性理論 / 差分方程式 / 国際研究者交流 / 中華人民共和国 |
研究実績の概要 |
本年研究課題の事業期間は平成29年度から令和元年度までであったが、新型コロナウイルスの発生により、研究協力者との連絡のための海外渡航ができなかったため、延長が認められた。令和元年度までの研究により、殆どの研究テーマは完了していた。令和2年度においては、研究テーマ3:生態系モデル解析に関する追加研究のみを以下のように実施した。 (1) 成熟血液細胞(赤血球、白血球、血小板)の増減を時間遅れをもつ1階差分方程式によってモデル化し、血球数の増加と減少及び周期性について数学解析をした。用いた手法はバナッハ空間上での不動点定理である。人に限らず、健康体の動物では、血球数は周期的に変化することが知られている。本研究では、この離散造血モデルの正の周期解が存在するための条件、その周期解の存在範囲、周期解の個数を決定する要因が新たな知見として得られた。(2) また、離散造血モデルの正の周期解が一つだけ存在するための条件の下で、それが大域的吸収的、即ち、離散造血モデルの他のすべての解がその周期解に漸近することを不動点定理以外の数学解析により示した。 (3) 当然、1階差分方程式は成熟血液細胞の増減を表すモデルにだけ使われるのではない。上記 (1) の研究成果を発展させ、もう少し一般的な時間遅れをもつ差分方程式の正の周期解の個数を判定できる基準を解明した。併せて、その基準が正しいことを示すために、いくつかのシミュレーション結果を与えた。 (4) ハエの生態から、成虫の個体数を記述する離散モデルを提案し、そのモデルの正の周期解の個数を調べるととに、成虫の間引きの影響について研究した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
延長年度である令和2年度も、新型コロナウイルスの蔓延により、海外渡航ができなかったが、研究成果は順調に増やすことができ、4編の論文が国際学術誌に掲載された。SCImago Journal Rankings 調べでは、掲載先は2編がトップ3%、1編がトップ6%のQ1誌(残りの1編の掲載先はQ2誌)であった。延長年度も含めた4年間において、16編のQ1誌と5編のQ2誌に、本研究で得られた成果を公表することができた。また、エルゼビアやシュプリンガー者のホームページや学術論文の各種データーベースによると、それぞれの論文の引用数は順調な伸びをしている。さらに、本研究金期間の初年度と2年度は国内外において招待講演を数多くすることもできた。このような状況からは判断して、本計画の進捗状況は極めて優れていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
【現在までの進捗状況】の欄に記したように、本研究では、極めて多くの研究成果を得ることができるとともに、それらをインパクトの高い雑誌に公開することができた。再延長が承認された令和3年度も引き続き、同様な方法で本研究を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染が続いていたので、令和2年度も国内外への移動が困難であったため、国外講演はできず国内講演も控えた。そのため、予算が若干の経費が残った。幸い、補助事業期間のさらなる延長が承認された。しかし、令和3年度も国内外への移動が困難であるため、残った若干の経費は、今後得られる研究成果を論文にまとめ投稿する際に、英文をネイティブスピーカーに校正してもらうための経費に充てる。
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