研究実績の概要 |
2019年度は対称空間上の平均値作用素および関連する課題を研究し、以下の成果を得た。尚、以下はJ. Chistensen氏、F. Gonzalez氏, J. Wang氏との共同研究である。(1)非コンパクト対称空間上の合成積作用素の全射であることと対応するコンパクト台を持つ超関数のフーリエ・ラプラス変換が緩減少性を満たすことが同値であることを証明した。ユークリッド空間上の合成積作用素については1960年代にEhrenpreisによる先行研究があるが、対称空間上の合成積作用素については、調和解析への応用上重要であるにも関わらず、今まで系統的な研究は存在しなかった。この成果については、既に「Surjectivity of Convolution Operators on Noncompact Symmetric Spaces 」という題目の論文(F. Gonzalez氏, J. Wang氏との共著)をまとめ、現在投稿中である。(math arXiv:2005.04113 参照)(2)非コンパクト対称空間上の平均値作用素の全射性についての研究。Chistensen氏、Gonzalez氏,との先行研究を部分的に進展させた結果をアメリカ、タフツ大学で2019年8月5日~9日に開催された国際研究集会「Conference on Modern Challenges in Imaging」で発表した。(3)対称空間上の波動方程式の解の決定問題の研究。幾つかの時刻 t=T_1,T_2, ,,,,T_mにおいて滑らかな関数のデータを与え、それらを満たす波動方程式の解を決定できるか?という問題を考察した。これは、上記(1)の結果の応用である。また、シュレディンガー方程式への応用についても研究中である。
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