対称空間上のシュレディンガー方程式の基本解の詳細な幾何解析的構造を研究することが当初の目的であった。しかし、対称空間上の帯球関数の解析を通して、対称空間上の平均値作用素の作用素論的性質と密接に結びついていることが判り、そちらの方に注力することにした。得られた結果は以下の通り。非コンパクト対称空間上の平均値作用素を滑らかな関数の空間からそれ自身への写像と見なすとき、適当な条件下で全射であることを証明した。また、関連する合成積作用素についてもある程度の結果を得た。この結果は、将来的に、対称空間上の波動方程式への応用が期待される。
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