本研究の最大の特色は、「平坦構造」と「線形微分方程式」という一見異なる分野の対象について、本質的に同じ対象であるという観点から研究を行うことにある。その結果として、パンルヴェ方程式と呼ばれる線形微分方程式の解と平坦構造のポテンシャルベクトル場と呼ばれる対象とのいくつかの面で新しい対応が明らかになった。また、複素鏡映群に対する平坦構造の構成は「超平面配置」という分野の未解決問題の解決に応用された。 さらに、本研究の成果をまとめたものを主な内容とする専門書を出版した。この本では、平坦構造について従来とは異なる新しい理論構成が与えられている。今後この新しい理論構成を基礎とした研究の進展も期待される。
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