研究課題/領域番号 |
17K05336
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
竹内 慎吾 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (00333021)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | pラプラシアン / 一般化三角関数 / 一般化双曲線関数 / 加法公式 / 倍角公式 / レム二スケート関数 |
研究実績の概要 |
2020年度の本研究課題の研究成果は、一般化三角関数と一般化双曲線関数との間の双対性の発見と応用である。これらの関数はpラプラシアンの固有関数として特徴づけられるものであり、それぞれ三角関数と双曲線関数の(2つの自由パラメータを含む)一般化になっている。
三角関数と双曲線関数は複素関数として考えると互いに変換できることはよく知られているが実関数としてはその関係が見えない。ところが今回の研究によって、一般化三角関数と一般化双曲線関数においては、お互いのパラメータを適当に選ぶことによって、実関数の範疇で互いに変換できることが分かった。従来考えられていたパラメータの範囲を広げるとともにこの変換に相当するうまい置換積分を行ったことで、双方の間の双対性を発見できたのである。この双対性の発見により、以前から知られていた一般化三角関数に関するある種の等式や不等式を双対性を用いて書き換えることで、一般化双曲線関数に関する新しい等式や不等式を得ることができた。また逆に一般化双曲線関数の関係式から一般化三角関数の対応する新しい関係式も得ることができた。特に Mitrinovic-Adamovic 型不等式に関しては既に、一般化三角関数の場合と一般化双曲線関数の場合がそれぞれ独立に証明されているが(Klen-Vuorinen-Zhang (2014)、Neuman (2015))、我々が発見した双対性によればこのそれぞれの不等式は互いに双対の関係にあることが分かった。これらの成果は大学院生との共同研究として論文にまとめて発表済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は開拓されたばかりの分野で解くべき問題が山積しているが、自明ではない性質が着実に解明できている。そして一筋縄では解決できないと考えられる問題も顕在化し、分野として健全であると思う。また得られた成果を研究集会やウェブ上で報告するとそれなりに反響があるので独善的なものではないと思われる。したがって研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き、一般化三角関数と一般化双曲線関数(どちらもpラプラシアンの固有関数)の性質、主に代数的・数論的な性質について研究し、その成果を解析学、特に非線形微分方程式の研究に活かすとともに、その成果を広く発表していく。pラプラシアンに関する従来の研究は、ラプラシアンで成り立つことがpラプラシアンの場合にはどのように変化するのかをまず調べるのが常である。一方、我々の研究方法によれば、異なるpに関する二つの固有関数の関係(例えば倍角公式や加法公式)を軸にして、二つのpラプラス方程式の間に潜む横断的な関係を捕まえることができる。本研究課題では、このような新しい視点によるpラプラシアンの研究と同時に、一般化三角関数と一般化双曲線関数の既知の問題への応用を並行して進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により出張できなかったため。
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