研究課題
2021年度の本研究課題の成果は、2020年度に研究代表者が共同研究者とともに発見した、一般化三角関数と一般化双曲線関数の間にある双対性の応用である。古典的な三角関数と双曲線関数には、Mitrinovic-Adamovic 不等式、Wilker 方程式、Heygens 不等式、Cusa 不等式などの有名な不等式があり、それぞれ三角関数版と双曲線版のペアが知られている。それらのペアは一般化三角関数と一般化双曲線関数に対して一般化されている(例えば、Klen-Vuorinen-Zhang (2014), Neuman (2015) など)。従来の証明法はペアを同様な解析を個別に行うものである。これに対し我々は2020年度に、MA 不等式のペアの一般化を片方からもう片方を双対性を用いて直ちに得るという別証明を与えた。そして2021年度は、他のすべての不等式について、既知のペアを双対性を持つように修正または拡張しつつ、同時に明快な証明を与えた。この結果は現在、大学院生との共著論文として投稿中である。このような不等式のペアを横断的に得る方法を開発することができたのが大きな成果である。2021年度は新たに5本の論文を出版することができた。上記の双対性の発見に関するものの他に、レムニスケート関数の一般化に関する二倍角公式、1次元 p-ラプラシアンをともなう Sturm-Liouville 型方程式に対する Lyapunov 不等式、一般化シンク関数の性質、そして Redheffer 不等式の一般化に関する論文である。本研究課題では、三角関数、双曲線関数、またそれに関連して円周率、Jacobi楕円関数、完全楕円積分、シンク関数などの様々な古典的な数学的対象を(p-ラプラシアンの研究に向けて)一般化してきた。今回で最終年度につき、この場を借りて研究費を使わせて頂けたことに深く感謝致したい。
すべて 2021 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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