研究実績の概要 |
Ωをm次元Euclid空間内の領域, uをΩ上で定義されn次元Euclid空間に値を持つ関数とし,その微分をDuと書くこととする.f(x,u,Z)をΩ×(n次元Euclid空間)×(mn次元Euclid空間)上で定義され,適当な条件を満たす関数とするとき, F(u):=∫f(x,u,Du)dxで与えられる汎関数を考える.ただし,積分はΩもしくはその部分集合上で考える. このような汎関数の最小値を与える関数は,一般論の枠組みで,Sobolev空間と呼ばれる「弱い意味で」微分可能な関数のなす空間内では,比較的容易にその存在が示されることが多い.このような「解」は「弱解」と呼ばれる.しかし,一方においてその弱解が,本来の問題が要求するレベルまで微分可能であるかということが問題となる.本研究ではこの問題を扱った. 前記の汎関数は,特にfの Z(=Du)に関する増大度により性質が大きく異なり,過去には|Z|のp乗(p>1)のオーダーの場合が盛んに研究されてきたが,ここ数年この指数が関数p(x)の場合(p(x)-growth), また((|Z|のp乗)+a(x)(|Z|のq乗)) (q>p>1)というタイプ(double phase)が盛んに研究されている. 後者では,a(x)のゼロ点で増大度が不連続的に変化するため,扱いはより難しい.本研究ではこれらに関する結果をいくつか得てきたが,最終年度(2019年度)では,とくに, p(x)-growthとdouble phaseをミックスしたタイプ,((|Z|のp(x)乗)+a(x)(|Z|のq(x)乗))というタイプの汎関数を扱い,Dirichlet境界条件のもとで最小値を与える写像の境界付近での連続性に関する結果を得た. また,数年前よりナポリ大グループと共同研究しているΦ-growthと呼ばれるタイプの汎関数に関しても結果を得た.
|