研究課題/領域番号 |
17K05339
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
山崎 昌男 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20174659)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Navier-Stokes方程式 / Lorentz空間 / 函数空間 / 補間理論 |
研究実績の概要 |
現在の研究課題は、外力がある場合の2次元領域におけるNavier-Stokes方程式の研究と、一般次元における非定常Navier-Stokesの解の延長可能性である。 2次元領域における定常解は一般に遠方で減衰しないので考察が困難である。外部領域において、外力のある場合の非斉次境界条件をみたす減衰の速い定常解の存在は既に対称性の仮定の下で得られているので、この解の弱解全体の中での位置づけを考察の課題とした、まず外力と非斉次境界値がある場合の弱解の存在を、データの大きさや障害物からの流出入等の条件を付けずに示し、さらに流出入が十分小さいときには買いがある種の不等式をみたすことを証明した。この不等式はエネルギー不等式の外力がある場合への拡張になっている。さらに、十分減衰の速い解が存在する場合、同じ外力と境界条件の下でのエネルギー不等式をみたす解は減衰の速い解と一致することを示した。(論文投稿中) 次いで遠方で減衰する非定常解の存在を、時間に依存するが減衰しない外力に対して示すことを目標とした。典型的な場合は時間について周期的あるいは概周期的なものである。定常問題の困難がそのまま非定常な場合にも引き継がれるので、結果を得るために定常問題のときに課した対称性の条件を課すことにする。また解の属する空間としては、減衰条件と滑らかさの条件がともに要求されるため、重み付きの空間を取る。当面境界条件の困難を回避するため、第一歩として全平面上での問題を考察した。(論文準備中) さらに非定常Navier-Stokes方程式の解の延長可能性としては,弱解の一意性や正則性と関連して多くの研究があるが、大学院生茂木裕貴氏との共同研究で、Lorentz空間に基づく新たな十分条件を得た。この条件は古典解の拡張可能性とともに、3,4次元における弱解の一意性および正則性を保証するものである。(論文準備中)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2次元外部定常問題については査読者の質問に答える過程で、結果が当初想定していなかった形に改良できることが判明したが、これらの場合を取り扱うために証明を大幅に書き換える必要が生じた。 2次元非定常問題については、3次元以上で用いた手法をすべて重み付き空間に書き換える必要があり、完全な証明を得るために手間がかかっている。 非定常解の延長可能性については、当初の結果は3,4次元の古典解についてのものであったが、これだけでは以前の結果と大きく異なるものではないので、高次元化と弱解との関連を付け加える必要があり、論文の構成が難しくなった。
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今後の研究の推進方策 |
二次元外部定常問題について、減衰する解が存在するために仮定した条件は本質的である可能性、すなわち類似した他の対称性の下では減衰する解が存在しない可能性がある。これを示すためには他の対称性を持つ漸近系を与えて、ノルムインフレーションが起こることを 示すことができればよいが、元の定常問題の論文が掲載決定後でないと執筆できない。 二次元非定常問題については、当初の目的である外部領域での問題を考察する必要がある。この問題については有界領域では重み付き空間は一般の空間と本質的に同じなので、柴田良弘氏らによる領域に切り貼りの手法が有効であると考えられる。 非定常界の延長可能性については、新しい条件であることにより、さらなる一般化の可能性がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外での研究成果発表、特に講演を行う機会があると予想していたが、適切な機会が得られなかったので、次年度以降に機会を得て発表することを予定している。
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