研究課題/領域番号 |
17K05342
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
坪井 明人 筑波大学, 数理物質系, 教授 (30180045)
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研究分担者 |
塩谷 真弘 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (30251028)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | モデル理論 / 組み合わせ論 |
研究実績の概要 |
有限無向グラフの自己同型群について,モデル理論的な考察を行った.数理論理学におけるモデル理論はもともと無限構造に対して有効な理論であるが,そこで開発された手法や概念は,実は有限構造においても有力な手段となることがある.例えば,タイプ(type)の概念や,定義可能集合(definable set)の概念は有効である.この考えのもとに本研究では,モデル理論における概念をもとに有限構造としてのグラフを考察対称にしている.ここでモデル理論的には,無向グラフとは,2変数述語 E に対する E-構造G=(G,E)で,辺の集合 E⊂G×G が対称性を満たすものである.Gのすべての2点が,辺たちを経路として,つながっているとき,連結という.本研究では,連結有限無向グラフの自己同型群の生成元について考察を行った. 結果:Gを連結な有限無向グラフとする.任意の2点 a, b に対して,tp(a)=tp(b)を仮定する.このとき,ある種の条件(*)のもとに,自己同型群 Aut(G)は非常に少ない数の同型写像から生成されることを示した.(ここでtp(a)はaによって決定されるタイプを表している.) この条件(*)は,モデル理論的な定義可能性閉包(definable closure)を用いて表現される条件であり,多くの有限グラフに対して成り立つことが示される条件である.数が少ないとは次の意味である:1点 a から直接つながっている各点 b に対して,a を b に移動させる自己同型を1個づつ選らんで生成元にすることができる.例えばサッカーボールに対応する有限グラフなど綺麗な対称性を持つグラフG は条件(*)を満たすので,少ない個数の生成元で生成される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実績の概要で述べた条件(*)を満たさない有限グラフは見つかっていない.したがって,すべての有限グラフでその条件が成立すると考えたが,証明することが現在できていない.
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今後の研究の推進方策 |
条件(*)を証明することに集中をして研究を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予想していた結果と異なる結論が出たため,研究打ち合わせの計画を変更した. 今年度は,得られた結論をもとに研究の方向性を変更し,昨年度行うはずであった研究打ち合わせを遂行する.
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