有限体上において多数の有理点をもつ代数曲線を構成できれば、効率のよい符号が構成できる。これはGoppaが発見した代数幾何符号の理論から導くことができる。近年最大曲線について多くの研究論文が発表されている。けれども最大曲線でないSerre上界に達する代数曲線について、解明が進んでいない。どれくらい存在するのか、予想できていない。本研究はそのような代数曲線を具体的な定義式で発見することを目指している。 本年度、まず6次平面曲線のなかで種数5以下となる一つのグループを構成した。このグループの代数曲線について、Kani-Rosen の方法を用いて、そのJacobianを種数2以下の代数曲線のJacobianに分解した。そうすることで、効率よくコンピュータ探索が実行できた。結果として、種数5の最大曲線でないSerre上界に達する代数曲線を6次平面曲線として具体的に得た。 次に6次平面曲線のなかで種数7のグループを構成した。このグループについて、Kani-Rosen の方法を用いて、そのJacobianを完全分解させることができた。さらに、グループのなかでコンピュータ探索を実行して、種数7の最大曲線でないSerre上界に達する代数曲線を6次平面曲線として具体的に得た。特にコンピュータ探索において、Zeta関数の理論を使うことで、高速なアルゴリズムが構築できて、それにより位数が大きい有限体上で実行することが可能となった。 種数5と種数7について、最大曲線でないSerre上界に達する代数曲線の存在は知られていなかったので、新しい成果だといえる。
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