研究課題/領域番号 |
17K05345
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
桔梗 宏孝 神戸大学, システム情報学研究科, 教授 (80204824)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 自己同型群 / 単純群 / 擬平面 / モデル完全 |
研究実績の概要 |
Hrushovski の構成した擬平面は実数のパラメータαに依存した次元関数δと境界関数fに基づいて構成される。より具体的には次の通りである。グラフAに対し、δ(A) = |A|-αe(A)とする。|A|はAの頂点の数、e(A)はAの辺の数である。グラフAでその部分グラフBはすべてδ(B) ≧f(|B|)をみたすようなもの全体のクラスに対するジェネリック構造というものがHrushovskiの擬平面である。fは対数関数のように、上に凸、単調増加で、発散する関するである。Hrushovskiの構成した本来の境界関数fはαに依存して定義される。Hrushovskiはある予想に関する反例を構成しており、そのときのαは無理数であったが、αが有理数の場合でも構成自体は可能である。Evans, Ghadernezhad, Tent はHrushovskiの構成法でえらえる構造の自己同型群の単純性について研究しており、上のような状況においてもジェネリック構造がmonodimensionalという性質をもてば、その自己同型群が単純群になることを示している。彼らは、αが1/2の場合についてはわりと一般的な状況で monodimensionalになることを示しているが、任意の有理数での証明は与えていない。それに対し、αが0と1の間の有理数のときに、Hrushovskiの本来の擬平面の自己同型群が単純群になることを証明できた。これはmonodimensionalになることを証明することにより示した。 また、この擬平面の公理系がモデル完全になることの証明も見やすくできた。さらに一般的な状況で通用すると思われる。さらに、大学院生の岡部氏の結果であるが、ジェネリック構造の定義を少し変更することにより、αが無理数の場合にジェネリック構造の公理系がモデル完全になるようにできることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
境界関数fについて都合のよい条件を仮定した状況で、ジェネリック構造の自己同型群の単純性を示すことはできていたが、Hrushovskiの本来の境界関数の場合について示すことができた。これは大きな目標の1つであった。また、パラメータαが無理数の場合はなかなか手が出ない状況であったが、モデル完全性については少し進展があった。
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今後の研究の推進方策 |
Hrushovskiが本来構成したαが無理数の場合については、モデル完全性も自己同型群の単純性について結果がでていない。有理数による近似との兼ね合いを詳しく調べることにより、無理数の場合にも自己同型群が単純になる例、あるいは単純でない例を構成したい。境界関数fについてはある程度一般の場合にもこれまでの証明法が通用すると思われるので、どこまで通用するか見極める。
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次年度使用額が生じた理由 |
大学の重要業務についていた関係で、計画していた学会出張のいくつかをとりやめる必要が出たため、使う機会を失ってしまった。 Logic Colloquium 2019に参加する予定で、その期間が8/10-16なので、普通の期間よりも経費が余分にかかるため、持ち越した分はそれにあてる。
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