研究実績の概要 |
Tychonoff位相空間Xから2点離散空間への連続写像全体に各点収束位相を入れた関数空間をCp(X,2)であらわす。実数の特異部分集合の一つであるMenger空間について、次の結果(1)(2)を得た。ここで位相空間がMengerであるとは、任意の開被覆の列に対して、各開被覆から有限部分集合が取れて、その有限部分集合の和がXの被覆になっているということである。例えば、無理数空間はMengerではない。
(1) 零次元空間 X, Y に対して、それぞれの導集合X', Y'はコンパクト距離空間であるとする。このとき、Cp(X,2)xCp(Y,2) がMengerになるための必要十分条件は、商空間の積空間(X/X')x(Y/Y')がcountable fan tightness for finite setsを満たすことである。(2) 零次元一般順序空間 X, Y に対して、Cp(X,2)xCp(Y,2) がMengerになるための必要十分条件は、Cp(X,2)xCp(Y,2) がLindelofであり、導集合X', Y'が可算コンパクトになることである。
これらの結果は、Bernal-SantosとTamariz-Mascaruaの論文「The Menger property on Cp(X,2), Topl. Appl.183 (2015), 110--126」で与えられた結果を改良したものになっている。(1)と(2)は2つの空間の場合だけでなく一般に有限積の場合にも成り立つ。また、Menger性を研究する過程でCp(X,2)がprojectively Mengerになる特徴づけや、Menger性に近い他の被覆性質であるHurewicz性やRothberger性についても研究している。
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